「企業が新卒採用を増やしている」とか、「景況感が良くなっている」などのニュースを、目にする機会が多くなった。しかし、多くの独身男女たちの懐事情は、かなり厳しいようだ。ある調査によると、20~30代の独身男女のうち、実に7割近くが、経済的ゆとりがない『プチ貧困』だという。
若手独身男女の68.1%「今の生活に、経済的ゆとりない」
調査は、住まいに関する情報発信などを手がける「オウチーノ総研」が、20~39歳の独身男女553人を対象に実施。まず、「あなたの今の生活に、経済的ゆとりはありますか?」と聞いたところ、「かなりある」と回答したのは3.3%、「まぁまぁある」が28.6%で、経済的ゆとりがある層は、約3割だった。一方、「あまりない」は42.1%、「全くない」は26%で、両者を合わせると、実に68.1%にのぼる。7 割近い若手社会人が、生活に経済的ゆとりが「ない」と感じているのだ(「『生活とお金』に関するアンケート調査」2015年2月19日公表)。
経済的ゆとりが「あまりない」「全くない」人に、その「最も大きな原因」を尋ねると、58.4%が「収入が低い」と答えた。さらに、経済的ゆとりが 「ある」と回答した人と「ない」と回答した人の年収を比べると、「ある」人は71%が「年収300万円以上」だったのに対し、「ない」人は55%が「年収300万円未満」となっている。調査したオウチーノ総研では、「『年収300万円』が、若手社会人が経済的ゆとりを持てるかどうかの、1つのボーダーラインとなるようだ」とコメントした。
調査結果が報じられると、ネットでは、様々な反応が飛び交った。「プチ貧困ってなんだよ。かわいこぶるな!」と、怒りのツイートを投稿する人もいれば、「前見た情報では、年収300万円を越えるかどうかで、結婚できるかどうかも決まってくるらしい。俺はこのままだと、定年になっても超えそうにない」と、あきらめモードの人もいる。
「年収260万だけど、生活が苦しいと思ったことはない」
独身者が、年収300万円を「プチ貧困」と感じるかどうかは、都会か地方か、1人暮らしか、実家暮らしか、などによっても違う。ツイッターでは、「年収300万円の場合、月の手取りは『20万円』。家賃8万円、水道光熱費と通信費が4万円とすると、残り月8万円。外食や交際費を捻出するとなると、キツいですね」という意見がある一方、まとめサイトでは、「車持たず、服はユニクロ、飯は吉野家や100円マック。スマホにしか金が掛からんだろ? それでいて貧困なわけ?」と厳しい声もあった。
「経済的な余裕があるかどうかは、支出にかかってる」、「給与に見合った生活すればいいだけの話なんだけどね」など、『プチ貧困』かどうかは、支出の多さによる、との意見も目立つ。中には、「年収260万円で家賃5万、車なしで生活してるけど、生活が苦しいと思った事ないな。お金を使わないのが当たり前の人生って感覚なんだろうか」という人もいた。
ゆとりの感じ方は、将来的に年収アップが見込めるかどうかによっても、違うだろう。「年収300万」は、『プチ貧困』なのかどうか。議論は、終わりそうにない。(KH)