今や、すっかりメインカルチャーとして定着し、海外からの評価も高い、日本の「アニメーション」。その制作者(アニメーター)たちの労働実態が、「あまりにひどい」と、ネットで話題になっている。
話題を集めているのは、日本アニメーター・演出協会が、文化庁の委託を受けて行なった、「アニメーション制作者実態調査」(2015年4月29日公表)。アニメ関係者の実態を広く把握しようとするもので、労働時間や年間の休日数、キャリア意識などを質問紙に記入してもらう形で実施した。有効回答数は759人。
年収平均は全体「332万円」、動画制作者「111万円」
調査結果の報告書によると、アニメーター全体の「1日の平均労働時間」は、11時間。かなりの長時間労働が、常態化している。さらに、「平均年収」は332.8万円、中でも、若手が多い「動画」部門のアニメーターたちの平均年収は、「111.3万円」だった。
自由回答欄には、「とにかく収入が低く労働時間が長いと思います。せめてどちらかでも改善してくれれば、若い人がより長くこの業界にいれるようになると思います(男性20代)」とか、「アニメ業界が儲からないのに成り立ち続けているのは、『やりがい』だけで保っているのだと思っています(男性30代)」、さらには、「単価低いし労働時間長いし、健康保険ないし、緩やかな自殺をしてる感じです。絵を描くのは好きだけど、自分の描きたい絵すら描けなくなるのはつらいですね。まわりからの理解も深くないので、辞めろとよく言われます。辞めますけど(女性20代)」など、リアルな声が寄せられた。