「壊し屋」タイプの学生の特徴 グループディスカッション狂想曲

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   今回のテーマはグループディスカッション、通称GDです。

   グループディスカッションは選考の初期から中盤にかけて利用される選考方法です。

   知らない学生同士で討論するため、不確定要素が大きく、苦手とする学生も多いようです。

   当然ながら、困った学生、GDを壊してしまう学生も色々出てしまうようで・・・。

簡単な自己紹介などをできるかどうか

さて、ディスカッションのテーマは・・・
さて、ディスカッションのテーマは・・・

   仕事は段取り、準備がすべて、とよく言われます。

   就活のGDもまったく同じ。

   え?

   模擬GDなどろくにやっていないのに、何を今さら?

   いえ、そこまでさかのぼるわけではありません。

   GDの段取りとは、GD開始前。待機用の会議室やグループを割り振りされた後でも、GD開始前に話す機会があるはず。

   そこで簡単な自己紹介などをできるかどうか。

   そこまで見ている企業があるかどうかは分かれるところですが、仮に選考対象でなくても、開始前の自己紹介はかなり有効です。

   GD開始後の自己紹介を省略できますし、自己紹介タイムのある企業でも、お互いの力量・適性などを見極めることができます。

   ところが、がちがちに固まっている学生だと、こうした事前準備ができていません。採用担当者は傍で見ていてもったいない、と思う方が多いようです。

役割は決まっていて有利不利もある?

   首都圏でも関西圏でも議論慣れした就活生だと、役割を決めずに議論を進めます。

   実際の社会人の会議などでもよくある話ですし、就活のGDでも間違った手法というわけではありません。

   発表が必要なGDなら、発表者1人を選ぶ必要がありますが、それも最後でもいいわけです。

   個人的には、タイムキーパーと書記くらいは決めた方がいいですが、それだって無理に決めなくてもいいわけで。

   もちろん、役割を最初に割り振った方がいい、と考える参加者が多数なら、最初に割り振るのも手です。

   ここでGDを壊してしまいやすい学生は、最初に役割を決めないと気が済みません。

   そして、GDの役割では有利不利があると考え、特に司会や発表者など目立つ役割が有利と思い込んでいます。

   実際には、全くの無関係なのですが。

答えがあって論破すれば勝ち?

   GDは、設定テーマから、抽象型(テーマが抽象的)、ケーススタディ型(テーマがケーススタディそのもの)、ディベート型(ディスカッションというよりも討論)などに分かれます。

   この3つのうち、ディベート型はベンチャー企業の一部などでしか利用されません。

   ディベート型だと相手を論破する必要があります。

   それから、まれに、答えを設定しているGDもあります。まあ、これはGDというよりはグループワークに近いのですが、それ以外は答えがはっきりしていません。

   つまり、GDにおいては、無理に論破しようとせず、答えが1つと思い込む必要はありません。

   が、GDを壊してしまう学生は、答えがあって論破してしまう必要があると思い込んでしまいます。

とんでもない俗説

   グループの中で受かる人数は決まっている――

   これ、頑なに信じている学生が結構いますが、とんでもない俗説です。学生の就活は企業からすれば採用活動です。この採用活動においては効率こそが善です。もちろん、この「効率」、企業によって一見すると非効率的な手法も含まれますが、それはさておき、いい学生ばかりのグループがあったとしましょう。この場合、全員通す方が効率的であり、そこから2人だか3人だか、選ぶ方が非効率的です。逆に全員ダメな学生ばかりのグループだと全員落とす方が効率的。人数の比率はグループによっていくらでも変わります。

すぐ話したがり、時間感覚がない

   GDが始まってすぐ話すかどうかは、参加者次第です。

   ただ、テーマがケーススタディ型など難しいのであれば、各自で考える時間が必要です。

   そこで、開始してから、各自で考える時間、定義・前提条件の確認、意見を出し合う時間、意見をまとめる時間など、それぞれ分けて考えた方がGDはうまくいきます。

   この時間管理がわかっていない学生ほど、GDを壊しやすいです。

参加プレーヤーが学生だけと思い込んでいる

   GDの参加者はあくまでも学生だけ。そう思い込んでいる学生はGDを壊しやすい傾向にあります。

   具体的に言えば、小声でしか話せない。

   これが、なぜGDを壊すことになるのか、その理由はGDの参加プレーヤーの読み違いにあります。

   GDの参加プレーヤーは学生、それから、試験官役です。

   学生だけのおしゃべりであれば、学生だけが話せば十分です。

   しかし、GDだと、試験官役もプレーヤーであり、この試験官役が聞こえないと、GDの意味がありません。

   GDに慣れている学生だと声をそこそこ大きく出すようにするとか、最初に座るとき、真ん中の席をあえて選ぶなどします。

勝手にやっていいこと、悪いことの加減がわかっていない

   テーブルが少し離れていれば近づける、ホワイトボードがあれば使う、などは特に指示がない限りは自由です。と言うことは、そこは近づけるなり、使うなりした方がいいわけで。

   一方、話すネタを示すためにスマホを持ち出す学生もいますがこれはアウト。

   本人からすれば悪意はないでしょうけど、それを認めだしたら、今度はYahoo!知恵袋に投稿しよう、という学生が絶対に出てくるはず。

   このようにどこから勝手にやってもよくて、どこからが勝手にやったらまずいか、わかっていない学生は危険です。

身近な話で盛り上がりすぎ

   GDのテーマによっては、身近な話から深めていくという進め方もあります。

   企業側も、あえて学生がとっつきやすいテーマを選ぶこともあります。

   身近な話はしていいのですが、危険なのは、身近な話ばかりで盛り上がり、ディスカッションにならない可能性があることです。

   身近な話で盛り上がりすぎるのは、実はGDを壊しているも同然です。

普通の学生も壊し屋になりかねない

   ここまでGDを壊す学生の特徴を挙げてきましたが、実は普通の学生も壊し屋になりかねません。

   具体的に言えば、壊す学生と一緒になり、その様子を見て、

「このGDはもうダメ」

とあきらめてしまう学生が結構います。

   これ、本人は気づいていませんが、あきらめた瞬間がGDの壊し屋に転じる瞬間でもあります。

   仮に議論がまとまらなかったとしても、あきらめずに議論をまとめようとしたかどうか、そこが見られています。

話せないと悩む普通の学生の逆転技は

   それでは、GD慣れしていない、普通の学生はどうすればGDで生き残れるでしょうか。

   これは、意外かもしれませんが、自身が平凡であることも出すことです。具体的には時間の確認、前提条件・定義を再確認する、わからないところをわからないと疑問をぶつける、少数意見をあえて話す、などです。

   時間の確認、前提条件・定義の再確認はタイムキーパーなどでなくても、話していい事項です。

   議論慣れした学生は、つい時間を忘れたり、前提条件・定義から脱線したりしてしまうので、こうしたコメントは貴重です。

   不明点をぶつけるのも同じ。議論の脱線を防ぐ効果が高いです。少数意見は話しづらいかもしれませんが、特に参加学生の間で出ていない視点からのコメントだと、あとでかなり高く評価されます。

   こうした話をGD慣れしていない学生に話すと、かなり意外に思われますが、これ、本当。だまされたと思ってお試しを。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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