多くの職場では、そろそろ、研修を終えた新入社員たちが配属された頃だろうか。具体的な業務を指導する立場の、先輩や上司たちにとっては、新人たちの「やる気」をいかに引き出すか、悩ましいところだ。
そんな先輩たちにとって、ちょっと参考になりそうな調査結果が、公表された。いわく、入社1~2年目の若手にとっては、「やる気を奪われてしまうセリフ」があるという。
2位は「ゆとり世代だなぁ」、1位は?
ソニー生命保険(本社・東京)が、この春就職する社会人1年生500人と、就職してから1年経つ社会人2年生500人を対象に、「先輩社会人に言われたら、やる気を奪われてしまうセリフ」を3つまで答えてもらったところ、1位は「この仕事向いてないんじゃない?」(36.7%)だった。せっかく頑張ろうとしているのに、「向いてない」と言われれば、がくっと来てしまう気持ちは、分かる。2位は、「ゆとり世代だなぁ」(34.3%)、3位は「やる気ある?」(31.9%)、4位以下は、「そんなことは常識でしょ」(25.5%)、「私が若いころは○○だったのに」(25.3%)などとなっている(「社会人1年目と2年目の意識調査2015」、2015年4月15日公表)。
調査したソニー生命保険では、若手に対して、ネガティブな先入観をもって話をしたり、理解しようとする姿勢がなかったりする先輩は、「後輩のやる気をどんどん奪ってしまっている」可能性がある、とコメントしている。
ツイッターでも、先輩の一言で「やる気をなくした」とつぶやく声が目立つ。「上司が私のやってきた1年間を全部無駄、みたいな言い方してきて、すごい頭来てる。やる気なくす」とか、「先輩に、今までの仕事人生を否定されたような気分・・・やる気なくした」という人もいれば、「『そろそろ、やろっかな~』って思ってるところに、上司からやれって言われるとめっちゃやる気なくす」という人もいる。一方で、「褒めるのがうまい先輩の元で仕事すると、やる気もみなぎるし、作業効率も上がるしで、いいことずくめやな」という声もあった。
アツすぎる声掛けは、逆効果?
上司や先輩たちも、後輩の「やる気」をいかに引き出すか、悩んでいる。ツイッターでは、「いい子だし、ちゃんと言う事聞く後輩なんだけど、たまに仕事ナメてるの? って言いたくなる。気持ちの浮き沈みがあるのはわかるけど、やる気がないのを表に出すなよって思う」とか、後輩が「やる気はあるけど一般的な感覚からちょっとズレちゃっているのか、ろくに仕事ができないから、どのように接すべきか悩む」などのつぶやきもあった。
冒頭の、ソニー生命保険の調査では、社会人1~2年目の若手に対し、落ち込んでいるとき(仕事で失敗したときなど)に、先輩社会人に言われたら「やる気に火がつくセリフ」も尋ねている。1位は、「次からはこうしようか(改善策を指示)」(36.9%)、2位は「困ったことがあったらいつでも相談して」(28.1%)、3位以下は、「頑張ったんだね、ありがとう」(27.3%)、「一緒に頑張ろう!」(24.5%)、「失敗は誰にでもあるよ」(23%)、「責任は俺が持つよ」(22%)などとなっている。
なんだか、頼もしいセリフばかりだ。一方、「辛くても諦めるな!」はわずか5.7%、「君がいいと思う方法に任せるよ」は7.5%と、少数派。「諦めず、自分の信じる方向を目指せ!」というような熱いセリフは、あまり有効でなさそうだ。
今年の新人は、柔軟性はあるが、熱血指導すると、色(個性)が消えてしまうという「消せるボールペン型」(日本生産性本部)。いかに「やる気」を引き出すか、悩ましいところかもしれない。(KH)