社長自ら報酬を大幅カット、その分で社員の年収引き上げ これで業績は上がるのか

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   日本マクドナルドが2015年4月分から移行している、一部社員の基本給を引き下げるという「新しい給与体系」が波紋を広げている。14年度は原田泳幸前会長に3億3900万円(役員報酬と退職慰労金の合計)、サラ・カサノバ社長に1億700万円と、高額の報酬等が支払われたことが明らかになっており、「現場は賃下げするのに!」と憤る声も。

   そんなマクドナルドとは対照的(?)な、「CEOが自身の給与を大幅にカットし、社員の最低年収を引き上げた」という企業が話題になっている。「日本の会社も見習って!」との声もあるが、それで会社が良くなるとは限らないようだ。

CEOの年収と社員の最低年収が同額に

日本でもやって!と思うけど・・・
日本でもやって!と思うけど・・・

   話題になっているのは、米シアトルの決済代行会社「Gravity Payments」だ。

   ニューヨーク・タイムズの報道(15年4月13日付)などによると、CEOのダン・プライス氏が、自身の年収を100万ドル(約1億2000万円)から7万ドル(約834万円)に大幅減額し、社員120人の最低年収を自身の年収と同額の7万ドルに引き上げることを発表した。今までの社員の平均年収は4万8000ドル(約572万円)で、今回の決定で70人の年収が増額、うち30人の年収は倍になる。プライス氏の年収を減額した分と会社の利益を財源にするという。

   プライス氏の決断の背景には、米国で深刻な問題になっている所得格差の拡大を「何とかしたい」という気持ちに加え、人々が「日々の出来事の質」が向上すると感じる年収の最高値は7万5000ドル(約894万円)というプリンストン大学の研究があったそうだ。元々そこまでぜいたくな生活をしていなかったプライス氏は、「7万ドルで快適に暮らせる」と話している(為替レートは15年4月27日現在)。

実施した日本企業では「業績が大きく伸びたわけではなかった」

   プライス氏の決断は日本でも広まり、ツイッターでは

「こんな社長の下で働いてみたいなぁ・・・。いつになったら貧乏から脱出できるのかねぇ」
「日本の全ての会社がこうなるといいね」
「こういう経営者が増えてほしいね」

など、「うらやましい」「日本でもやってほしい」といった意見がつぶやかれている。

   また、マクドナルドの「新給与体系」を受けて「マクドナルドとは正反対w」「マクドナルドの経営陣に見せてやりたいな」という声も。

   多くの人が日本の経営者にもこんな英断を求めているが、すでに失敗例もあるらしい。

   プライス氏の記事を受けた人事コンサルタントの安達裕哉氏のブログ(15年4月18日投稿)では、過去に日本でも社長が自身の給与を下げ、社員の給与を100~200万円程度引き上げたIT企業があったが、

「実際に社員が喜んだのは最初の2、3年程度、一旦給与が上がると、だんだん人は慣れてくるもので、『それくらいもらうのは当然』という雰囲気が徐々に支配的なっていく。また、社員モチベーションが上がったからといって、会社の業績が大きく伸びたわけでもなかった」(原文ママ)

というケースが紹介されている。

   残念ながら日本では上手くいかなかった先例があるようだが、プライス氏の決断はどういう影響を及ぼすのか、見守りたい。(MM)

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