「ブラック上司」撃退法 裁判もよいが、その前に・・・

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「ブラック上司」が生まれる理由

   念のため最初にお伝えしておくと、単に「要求水準が厳しい」「失敗したら叱責する」「口調が上から目線」・・・といった理由で上司をブラック扱いするのはお門違いだ。然るべき理由があったうえで叱責する上司は、「上司としての仕事をきちんとこなしている」のであり、その場合は、さすがに叱責の原因となったあなた自身の業績なり、行動・言動を反省しなければならない。

   一方で、あなたはしっかりやっているのに、理不尽なことを言ってくる上司であれば、ブラック上司、モンスター上司と認識してよいだろう。相談として多いパターンからひもとかれる、ブラック上司の特徴から考察していこう。

<ブラック上司の主な特徴>
・そもそも人格的に破綻している
・自己愛が強く、自己評価もプライドも異様に高い
・自分の行動・言動が、他人にどう認識されているかについて無関心/無頓着
・プレイヤー時代には成果を挙げていた

(上記の特徴に当てはまらないが、「ブラック上司だ!」と感じられるパターンも存在する。それら別パターンの上司への対処法は、次回「タイプ別上司のトリセツ」で解説予定だ)


   そう、彼らはまがりなりにも上司なので、現在の地位まで出世してこられただけの、何らかの業績や貢献があったことは確かなのだ。しかし、あなたも「名選手、必ずしも名監督にあらず」という言葉を聞いたことがあるだろう。

   セールスなり、エンジニアなりの一プレイヤーとしては成果を出せた人でも、上司としてのマネジメントスキルを兼ね備えた人かどうかは分からない。でも、組織として出世させる基準は「業績」というのがもっとも判断しやすいのもまた事実である。

   したがって、プレイヤーとしての業績だけで上司となった人の中には、「プレイヤーとしては優秀でも、マネジメントスキルがない上司」というものが一定割合存在することになる。彼らは自分自身に成功体験があるだけに、「俺はできたのに、なんでこんなことがお前にはできないんだ!」などと責めてしまったりするのだ。

   また、「ブラック上司」を創りだしてしまうのは会社の問題、という面もある。

   そもそも、上司としてのマネジメントスキルよりも、わかりやすい業績で昇進させてしまうこと自体が原因でもあるのだが、そのような判断が繰り返されてしまうと、ブラック上司が再生産される、ということにもなりかねない。

   また、「管理職とは?」という定義をどう設定しているかも重要である。これまで述べてきたような「マネジメント」や「部下育成」ということが重視されているなら心配ないが、もし「プレイングマネジャーとして業績を上げる」といった項目が重視される環境ならば、部下そっちのけで自らの評価を上げるための行動を追求してしまう上司が出てきても仕方ないだろう。

   これまでもブラック上司は数多くいたはずだが、「上司の指導とはこういうもの」といった認識に阻まれ、被害の実態はなかなか表に出ることはなかった。昨今は幸いにも、企業のコンプライアンスについて厳しく問われるようになったため、理不尽な上司の存在が目立ってきたというわけだ。では、不運にもそのような上司に巡り逢ってしまった場合、あなたはどう対処したらいいのだろうか。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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