「ホワイト企業」を辞めたがる人の理由
このように、労働・職場環境が整っており、福利厚生も手厚い企業のことを総称して俗に「ホワイト企業」と呼ばれる。こちらもブラック企業同様、明確な基準は存在しないが、定量化できる指標として「離職率が低い」という項目が挙げられるので、直近発表された「新入社員に優しい『ホワイト企業』トップ300」(東洋経済オンライン、2015年3月19日)を基に考察してみよう。
このランキングでは、「新卒者が3年後にどれだけ在籍しているか」という「新卒3年後定着率」を基に、定着率の高い会社を「新入社員に優しいホワイト企業」と定義して発表している。その中で、3年間誰も辞めていない定着率100%の会社は116社。300位の会社でも定着率は93.3%あるから、ランクインした企業群は相当「働きやすい」会社といえるだろう。
しかし、この判断基準にも落とし穴はある。名誉のため具体的な企業名は明らかにしないが、これら300社の中には、私がこれまで「もう辞めたい・・・」と相談に乗った方が在籍していた企業が31社存在していた。
それぞれ業種も仕事内容も、また相談時期も異なるため一概には言えないが、彼らが訴えていた不満に共通していたのは、次のような点であったことを思い出す。
「仕事はラクだしプレッシャーもほぼないため居心地は良いが、自分が成長している実感が全く持てない」
「最終顧客と遠い。掛け声は『顧客重視』だが、社内会議の資料作成に多くの時間と手間をかけてばかり。普段の会話にも顧客が出てきたためしがなく、自分たちが価値提供できている実感が持てない」
「説明会ではやたら『変革』を連呼していたのに、実際に新たな提案をおこなっても、様々な理由をつけて却下される保守的な社風」・・・