当事者ではない周囲の意見に振り回される必要はない
「ブラック」も捉えかた次第――
上記メッセージは私の率直な気持ちではあるが、キレイゴトと感じる方もおられるだろう。
一生懸命仕事に取り組んでいこうとする人の意欲を打ち砕くような、悪意あるブラック企業やブラックな上司は実際に存在するからだ。
しかし、いつもこの連載上で表明しているように、「ブラック」と感じる基準はその人の価値観によって異なる。
莫大な赤字を垂れ流し、平然と大量リストラをやっていても、「大手有名企業」というだけで応募者が殺到する会社がある。一方で、高収益で成長していても、「ハードワークでプレッシャーが厳しそう」というイメージから、ブラック企業と呼ばれる会社もあるのだ。
どちらが良い、悪い、というお話ではなく、あくまで個々人が何を重視するのか、という価値観の問題であり、働く当事者ではない周囲の意見に振り回される必要はない。もしあなたが入社後に「ブラック企業かも・・・」と考えたり、周囲から自分たちの会社をブラック企業呼ばわりされたりしたときは、「自分は何を重視してこの会社/仕事を選んだのか?」と思い返して頂きたい。
「いい会社」と「ブラック企業」は表裏一体なところもあり、こちらを重視すればあちらが立たない、といったことが起こり得る。最近のニュースを引き合いに出しながら、「何をもって『いい会社』とするか」「どんな要素があれば『ブラック企業』なのか」について考えてみよう。
<顧客にとっていい会社>
・リーズナブルな商品、サービスを提供している
・高品質な商品、サービスを提供している
・対応が迅速で丁寧
・365日、24時間営業している
・多少の無理難題は聴き入れてくれる
<株主にとっていい会社>
・儲かっている
・効率良く経営できている
・借金が少なく、財務体質が強固
・継続的に成長している
・差別化できる強みや技術がある