「社長冥利に尽きる」 そう言わしめた部長の一言

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「好きなことをしろと言っていただけるなら・・・」

   すると、O部長はこう返したそうです。

「私は社長に拾っていただいて足手まといな存在にすぎませんが、こんな私に信頼感を持って接していただいて本当に感謝しています。好きなことをしろと言っていただけるなら、社長にひとつだけお願いがあります。働ける限り体が動く限り、社長のそばで仕事をさせてください。いつまで動けるか分からない私の希望は、それだけです」

   O部長は社長の内に秘めた信頼感をしっかりと感じとっていたのです。

   O部長は、亡くなる2週間前まで辛い体をひきづりながらも、会社に来て働いたそうです。葬儀から1週間後、会社を訪ねた私に、社長はO部長との2人だけの対話のことを話しつつ、「あれはいまだかつて経験したことのない、社長冥利に尽きるひと言でした」と目を潤ませながら言いました。そして「社員との信頼感に勝る財産はないと彼に教えてもらい、会社経営の考え方が少し変わりました」とも。

   社長から社員への信頼感が「社員冥利」を感じさせ、それが社員から社長への信頼感として返ってくることを感じた時、社長ははじめて「社長冥利に尽きる」を実感するのでしょう。そしてそれはまたゴールではなく、経営者として次のステージのスタートでもあるのだと思いました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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