もし日本の本屋が「英語本だらけ」だったら カンボジアの書店で考えたコト

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   海外で長く暮らしていて、日本の本屋に行くと、「日本の本屋には日本語の本が滅茶苦茶たくさんあってすげえなあ...」と思います。

   ほぼ日本国民しか読めないローカルの言語なのに、よくこんなにたくさんの本の需要があるもんだ、と。

   東南アジアの途上国のキレイめ本屋に入ると、店の入り口に陳列してあるのは英語の本であることが多いです。特に、私が暮らしているカンボジア・プノンペンの本屋の場合、一番目立つところから専門書のところまで、英語の本ばかりが並んでいます。

英語が読めないカンボジア人はどんな本を?

にほん語を・・・どうしたいんだ?
にほん語を・・・どうしたいんだ?

   カンボジアのローカル言語、クメール語の本はというと、子供向けの絵本や、薄い小説のようなもの、学習参考書(英語や日本語の学習書)くらいが、ときどき思い出したようにコーナーを形成しているくらいです。

   ちなみに、クメール語の本は英語の本に比べて、製本が安っぽいものが多く、内容もかなり怪しげだったりします。写真(上)の日本語の学習本など、表紙からしてネイティブチェックが全く入っていないこと間違いなしです。

   じゃあ、英語が読めないカンボジア人はどんな本を読んでいるのか?カンボジア人の人に聞いてみると「何も読んでない」、または「Facebook」という答えが返ってきます。

   街を歩いていると、屋台みたいな売店でクメール語の新聞や雑誌などはそれなりに売っています。しかし、ビジネス書や小説などは非常に少なく、専門書などはどこにも見当たりません。

   「大学を出ているカンボジア人は、大体英語が何とかなる」というのも、英語がなんとかならないと、大学を卒業するために必要な教科書を読むことができないというのが原因なのでしょう。

   そして、大学卒業率が2%というのも、金銭面だけでなくこういうハードルの高さもあるのだと思います。

一番価値があるものは、モチベーションかも

   一方、日本には日本語だけで卒業できる大学が掃いて捨てるほどありますし、かなり高度な専門書まで日本語訳がされています。

   日本にいて、日本の大学の図書館とかをみて、6階建ての本屋とかに出入りしていると、当たり前だと思っているこの現実は、カンボジアの学生からしてみたらアメイジングなことだったりするのです。

   こういう点で、日本に生まれてきたのは本当にラッキーだなと思う反面、日本人がグローバル言語である英語を習得するのが苦手な原因はこれだと思うと、残念だなと思ってしまいます。

   人間、必要に迫られないと全力を出すのは難しい。しかし、日本にいると英語を覚える必要性は、カンボジアなどの国に比べたら極端に少ない。これをいい方にとるか、悪い方にとるか。

   まあ、日本語がネイティブかつ英語がそれなりに喋れるだけで特別扱いされるからラッキーくらいに思って、真面目に英語を勉強するのが一番健全だと思います。カンボジアでは、レストランのウェイターなんかはともかく、大卒ホワイトカラーで英語が喋れるのは当然で、なんの差別化要因にもならないですからね。

   豊かな社会で、一番価値があるものは、モチベーションなのかもしれません。


   そんな、カンボジアの現在の様子を、私と、カンボジアで人材会社をゼロから作った起業家で語ります(2015年5月2日、東京)。ご興味のあるかた、是非ご参加ください。詳しくはコチラから。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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