レストランの予約や荷物の再配達依頼など、面倒なアナログなやりとりがFacebook上で完結できるようになるかもしれない。
米フェイスブックの「メッセンジャー」アプリが、「企業向け」のサービスを強化したからだ。同社が米国時間で2015年3月25日に開催した開発者向けのカンファレンスで明らかにした。まずは欧米が中心で、日本における取り組みについては明らかにされていない。
特典情報をプッシュ通知
既存のメッセンジャーアプリには、メッセージの入力・送信画面に「〇〇〇」というマークのその他の機能を表示させるボタンが存在する。このボタンをタップすると、メッセンジャー内で利用できる企業のアプリが表示されるので、ここでダウンロードを行うことになる。
たとえば、アプリを提供しているEコマースサイトで商品を購入したものの、配達までの間に注文内容を変更したいと思った場合、メッセンジャーアプリを経由してカスタマーサポートの担当者に連絡することができる。荷物の再配達依頼も、技術的にはアプリを経由して行うことが可能だろう。
逆に企業から顧客へは、決済完了や注文変更の確認に関するお知らせなどを従来のメールよりも簡単に済ませることができる。さらに、利用者限定のクーポンなど特典情報をプッシュ通知して利用者の再来店につなげるなど、売上増加のためのマーケティングに活用することも可能だ。
メッセンジャーアプリ市場の動向
特に、スマートフォンアプリやEコマースサイトなど、インターネット上で購入まで完結するプロダクトやサービスを運営する企業にとっては、ユーザーの購買行動を促す手段が増えることになるためメリットが大きいだろう。
フェイスブック社はメッセンジャーアプリで収益化することを今のところ考えていないそうだ。しかし、今回の企業アプリの取り組みが浸透すれば、同社が運営するプラットフォーム上での収益は拡大するだろう。なぜなら、企業とユーザーのやりとりからユーザーの興味や行動に関わるデータを収集し、表示する広告の精度を高めることができるからだ。
「WeChat」や「LINE」などメッセンジャーアプリ市場で存在感を高める他社に対抗するねらいもあると思われる。(岡徳之)