先日、ベトナム中部の街、ホイアンに行ってきました。
ここは街全体が世界遺産に指定されており、夜になると街中が提灯の明かりにほんのりと照らされ、幻想的な雰囲気になります。
そんな街の特産品のひとつがオーダーメイドの衣類です。
縫製業が盛んな街だったのですが、世界遺産に指定されている旧市街の中にもオーダーメイドのスーツや靴、女性用のパーティードレスや、ベトナムの伝統衣装アオザイなどを作る店が軒を連ねており、欧米人をはじめとする観光客で賑わっています。
オーダーメイドでお値段80ドル
私もオーダーメイドでスーツを1着作ったのですが、お値段80ドル(1万円弱)と非常に安く、仕上がりも非常に満足がいく物でした。
この値段も、日本国内でのスーツの値段を見れば驚異的なのですが、さらにすごいところは、採寸からたったの24時間で作ってくれることです。
店舗でオーダーをお願いすると、店舗内に陳列してある見本から大体の型を選び、スーツの形を決めていきます(スーツの写真を持っていって、その通りに作ってもらうことも可能)。
そして、同じく陳列してある布を選び、採寸にはいります。
人手による採寸に加えて、身長などは目盛りがついている壁の前で写真をとるなど合理化もされています。
採寸後は、ほぼ同じ場所にある工房で職人さんが縫い上げてくれます。翌日の昼ぐらいに行くと仮縫いが完了しており、試着をしてOKならば夕方までに仕上げてくれます。また、変更が必要な場合は場合によっては試着の場に職人さんが降りてきてくれ、どんどん修正してくれるので、納得がいくレベルまで何度でも直してもらえます。
納期「24時間」の凄さ
このサービスの一番すごいところは、値段ではありません。
値段でいえば、カンボジア・プノンペンには100ドルでジャケット、ズボン2着、ワイシャツ2着をオーダーメイドで作ってくれるところもあります。しかし、明らかにそこよりも優れているのが納期です。
プノンペンの洋服屋は最低でも1週間かかります。これでは、在住者はともかく旅行者は(相当長期滞在する人以外)使うことができません。世界遺産の街ホイアンで商売をするなら旅行者を相手にするのが一番。そのために、24時間で作れる体制をしいたところがすごいのです。
採寸を合理化したり、地価の高い旧市街の中に工房を作ったりしてでも、納期を短縮したところ。顧客のニーズを考え、それを満たすために全てを設計していく。
100円ショップの商品が100円で売れるように大きさや数量、品質を決めていくように、ここでは24時間という納期のために設備や製法が決められているのです。
「いい物ができたから売る」のではなく「顧客が求めているものを売る」あたりまえのことですが、それがしっかりできているホイアンの工房は非常に魅力的なところでした。
ちなみに、プノンペンには観光客があまりこないため納期を短縮することにあまり意味はないかもしれませんが、もし納期を24時間に短縮することができ、アンコールワットがあるシェムリアップに店舗兼工房をつくることができたら、これはかなり大きなビジネスになる気がします。(森山たつを)