納期「24時間」の凄さ
このサービスの一番すごいところは、値段ではありません。
値段でいえば、カンボジア・プノンペンには100ドルでジャケット、ズボン2着、ワイシャツ2着をオーダーメイドで作ってくれるところもあります。しかし、明らかにそこよりも優れているのが納期です。
プノンペンの洋服屋は最低でも1週間かかります。これでは、在住者はともかく旅行者は(相当長期滞在する人以外)使うことができません。世界遺産の街ホイアンで商売をするなら旅行者を相手にするのが一番。そのために、24時間で作れる体制をしいたところがすごいのです。
採寸を合理化したり、地価の高い旧市街の中に工房を作ったりしてでも、納期を短縮したところ。顧客のニーズを考え、それを満たすために全てを設計していく。
100円ショップの商品が100円で売れるように大きさや数量、品質を決めていくように、ここでは24時間という納期のために設備や製法が決められているのです。
「いい物ができたから売る」のではなく「顧客が求めているものを売る」あたりまえのことですが、それがしっかりできているホイアンの工房は非常に魅力的なところでした。
ちなみに、プノンペンには観光客があまりこないため納期を短縮することにあまり意味はないかもしれませんが、もし納期を24時間に短縮することができ、アンコールワットがあるシェムリアップに店舗兼工房をつくることができたら、これはかなり大きなビジネスになる気がします。(森山たつを)