先日、シンガポール建国の父、リー・クアンユー氏が亡くなりました。
マレーシアから捨てられた小さな漁村を、50年弱で世界有数の豊かな国に変えたそのリーダーシップは、史上最高の政治家といっても過言ではありません。
彼が作ったシンガポールの凄さは、海外就職という観点からみてもよくわかります。
ひとつ目の凄さは、ルールがちゃんと守られていること。
海外で働くために必要なのが「労働ビザ」です。
この労働ビザは、ある一定の要件を満たしていないと外国人には発行されません。
私もその「要件」をよく聞かれるのですが、多くの東南アジア各国に関しては、これを回答するのが非常に困難です。と、いうのも、正式に出されたルールがまともに運用されていないからです。
ルールが明確に決まっている
「4年制大学を卒業し、3年以上の職歴があること」と政府が公表していても、実際には最終学歴が高卒の人や、大学出たばかりの新卒の人にビザがおりていることが日常的にあります。ルールが移民局に伝わっていなかったり、企業が移民局の役人と仲良しだったりすると、平気でルールが覆されたりするのです。
つまり、政府が出している情報をそのまま伝えても現状に即した情報ではなくなるため、「原則としては○○ですが、実際には△△である場合が多いです。最終的にはやってみなくてはわかりません」と答えるしかなくなってしまうわけです。
しかし、シンガポールは、このルールが明確に決まっており、シンガポール政府のWebページにビザ取得希望者の情報を入力すれば、ビザが降りるか否かが一瞬でわかります。安心して「このWebページにデータを入力してください」とお伝えできるのです。
ルールがルールとして機能している。当たり前と言えば当たり前なのですが、東南アジアでこれがきちんと実行出来ているというだけでもスペシャルな国なのです。
そして、もうひとつの凄さが、ルールが非常に的確に決められていることです。
シンガポールで日本人が労働ビザをとるためには月額の給料の下限額が決められており、この金額は年々高くなっています。これは「優秀な(=シンガポールに利益をだしてくれる)外国人以外は来なくていい」という方針に沿ったルールであり、高いスキルを持った人にとっては買いたたかれることがないという意味で有利になっています。