4000キロ離れた妻と「一心同体」 「出産立ち会い」ネットで実現

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   単身赴任などを理由に、妻の出産にやむを得ず立ち会うことができない夫はいるだろう。そんな遠く離れて暮らす家族を支援しようと、サムスンがオーストラリアで同社が開発・提供している「VR(ヴァーチャルリアリティ)」を体験するためのヘッドセット「Gear VR」を使った興味深い取り組みを行った。

   VRとは「Vertual Reality(ヴァーチャルリアリティ)」の略。現実には存在しないデジタル空間を、CGや音響効果によって、あたかも自分がそこにいるかのように感じさせる技術のことだ。米Facebook社がヘッドセットを開発する新興企業を買収したことで注目が一段と集まった。

VR普及を後押しするか

病室にいる妻・生まれたばかりの子どもと 「対面」
病室にいる妻・生まれたばかりの子どもと 「対面」

   その技術とヘッドセットを使ってサムスンは、オーストラリアのパースに暮らす妊娠中で出産間近にある妻と、そこから約4000キロ離れた同国クイーンズランドで単身赴任で働く夫とをつないだ。夫は、まもなく出産する妻がいる病室の様子を、ヘッドセットのディスプレイを通じて眺めることができた。

   ただ単にウェブカメラを病室に置いて中継するのと違うのは、あたかも自分が病室にいるような感覚を味わえることだ。ヘッドセットを頭に装着した状態で上下左右に首を振り顔を動かすと、ディスプレイに表示される視界も同様に上下左右に動き、眺めている病室の景色が変わる。病室の妻がすぐ隣にいるように感じられる。

   いよいよ出産という段階では、分娩室と夫とをつないだ。これにより夫は、遠くにいながらにして母親の胎内から子どもが出てくる瞬間に立ち会うことができた。この様子をおさめた動画は2015年3月14日にYouTubeで公開され、わずか4日後の段階で380万再生を超えた。

   VRの市場では、サムスンのGear VRのほかにも徐々にヘッドセットが市場に出回り始め、今後普及の鍵はVRならではの体験、実用性といった「キラーコンテンツ」だと言われている。現在のインターネット中継を行う手段として知られるSkypeやUSTREAMの進化版とも言うべき今回の取り組みは、そういった意味でも興味深い。(岡徳之

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