いよいよ就職活動が本格スタートし、不安半分、期待半分で、説明会に参加している学生も多いだろう。「入社するなら、大企業か中小・ベンチャーか」というテーマは、今も学生らの関心事のようで、近頃、「学生は大企業へ行くべき!」と主張するブログが注目を集めた。その「心」とは一体・・・?
大企業志向と中小企業志向が、約半分ずつ
新卒採用ナビを手がけるマイナビ(本社・東京)が、2015年3月大学卒業予定者を対象に行ったアンケート(14年3月18日公表)では、「絶対に大手企業がよい」+「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」(大企業志向)の合計が、前年比3.7ポイント増の44.9%と、2年連続で増加した。一方、中堅・中小企業を志向する学生(「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」+「中堅・中小企業がよい」)は、前年比3.6ポイント減の50.6%だった。学生の属性ごとに見ると、「関東・関西国公立の男子」では、大手企業志向が6割を超える一方、その他エリアの私大男女や、関東・関西の私大女子は、大手企業志向が3割台にとどまっている。男女や大学の地域によって、かなり違いはあるが、全体としては、大企業を目指す学生と、そうでない学生が約半分ずつ、といったところだ。
ここ数年は、学生の行き過ぎた大企業志向を是正しようとしてか、「オンリーワンの強みをもつ中堅企業に目を向けよう」とか、「ベンチャーで、早くから責任ある仕事をこなして成長しよう」といったコラムを、目にする機会も増えた。そんな中、「学生は大企業へ行くべき」と真正面から主張するブログ記事が、話題を呼んでいる。題して、「ベンチャー社員の語る嘘にだまされるな:学生は大企業へ行け」(外資系OLのぐだぐだ、15年3月5日)。ブログの著者は、大企業と中小・ベンチャー企業の両方に勤めたことがあるという女性だ。
「総論は理解できるが・・・」の声も
彼女いわく、「大企業は裁量権がない」というのは、ウソだという。彼女が新卒で入った大企業では、「入社1週間で億単位のプロジェクトを1人でまわした。死ぬかと思ったが、死ぬほど成長できた」といい、「逆に中小企業でも『○○さんは1年目だから電話番でもしておいて』なんてことは、普通にあった」からだ。
他にも、「ベンチャー企業は大企業より、意思決定が早い」といわれるが、取引先が大企業の場合、その大企業の「決定の遅さ」に引きずられ、自分のプランがなかなか実現しないこともある。ベンチャーだから、裁量権があるとか、しがらみがないとかいうのは、「ウソ」だ。
問題は、「大企業or中小企業・ベンチャーではなく、部署(会社ですらない!)や、上司の体質である」。これらは運によって左右されるが、大企業では、最低限の福利厚生が充実していることが多いため、「もろもろまとめて、大企業を、私はお勧めする」としている。
ブログには、公開から約1週間で、700以上のツイッター反応があった。「完全に同意。それなりの規模の企業は経験しておいて越したことはない」とか、「大企業の方が人が多いので、自分を買ってくれる上司、先輩が何人かは必ず出てくるもんだ。小さい企業だとゼロってこともあるだろう」など、賛同する意見も多い。
一方で、「でも結局、(大企業では)部署選択が出来ないのなら、敬遠してしまうなぁ」という意見や、「総論は理解できるが、まぁネットベンチャーとか、自社でビジネスする会社のことをこの方は知らなそう。総じて考え方が古いと思う」という声もあった。
結局は、大企業もベンチャーも、「一長一短、結局自分がやりたいことがあるなら、それに合ったほうを選べばいい」ということだろうか。(KH)