「頭の中を盗聴される」人々とネットの関係

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人事部門の重要なミッション


   以来、彼とは音信不通であり、勤めていた会社を辞めたこと以外、何をしているかもわからない。でも、今回のような凶行が起こされるたびに、いつか彼の名を事件報道の中で目にする日が来るのでは、と憂鬱な気分になる。


   管理部門の人間なら、こうした病気は決して珍しいものではないことは、よくわかっていると思う。100人いればだいたい1人ぐらいはそうした傾向のある人がいるもので、そういう人と面談し、医療機関を受診するよう説得したり、場合によっては休職を勧めたりするのも、人事部門の重要なミッションだったりする。


   ただ、インターネットの普及した2000年代に入ってから、そうした傾向のある人たちの話に、いくつかの共通するキーワードや陰謀論が頻出するようになった。恐らく、彼らは彼らなりにネットを使って情報収集しているのだろう。だがそれがプラスに作用しているかというと微妙である。


   インターネットは、自分で情報を取捨選択できる最強のメディアだ。ただ、取捨選択の仕方次第で、信用度ゼロのガラクタにもなりうるという事実は、常に心のどこかにとどめておくべきだろう。ネットの向こうで親身になって助言を送ってくれる相手は、ひょっとするとあなた以上に助言の必要な状態かもしれないのだから。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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