政府の規制改革会議は、裁判で「解雇無効」と認められた労働者に対して、企業が金銭を支払うことで解雇できる「解決金制度」の導入をめざす意見書を、2015年3月25日にまとめた。解雇された労働者から申し立てがある場合にだけ適用する制度で、企業側からの申し入れは認めないという。
解雇ルールは現在、労働契約法16条で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」と定めている。判例では、人員削減をしなければ会社の存続が厳しいのか、経営者が整理解雇を避けるために役員報酬や従業員の賃金の削減など努力を尽くしたか、解雇対象者の人選が妥当か、本人への説明などの手続きが適正か、といった「整理解雇の4要件」を満たさなければ、企業側が労働者を解雇するのはむずかしかった。
半面、不当解雇が認められたとしても、現実的には会社との信頼関係が壊れているため、解雇前の職場に復帰できないケースが少なくない。
人材の流動化が進んでいる欧州などでは、金銭解雇は一般的なルールとなっている。