成果主義。一頃ほど耳にしなくなった印象もあるが、比較的最近では、日立製作所が管理職給与を「成果主義へ」(2014年9月29日、読売新聞電子版)といった動きもみられる。
成果主義そのものへの賛否の声は様々あり、なかには、「成果で評価する」は結構だが、その成果や人物の評価の仕方に納得がいかない、という声も根強くある。
不満の理由トップ「評価基準が明確に示されていない」
2015年3月3日付の日本経済新聞に、「人事評価に『不満』4割 日経など意識調査 『基準曖昧』で不公平感」という記事が掲載された。
日本経済新聞社とNTTコムリサーチが15年2月4日~10日にかけて共同で意識調査を実施。20~50代の会社員1054人に人事評価の仕組みについて聞いたところ、「不満」「どちらかというと不満」が37.8%、「満足」「どちらかというと満足」が19.0%、「どちらでもない」が43.3%だった。
「不満」の理由は、「評価基準が明確に示されていない」が41.0%で最も多く、「評価者の好き嫌いで評価される」(38.7%)、「評価者が直属の上司しかおらず、評価が一面的」(24.9%)と続いた。
また、自身の人事評価に対しても、「不満」「どちらかというと不満」が33.7%で、「満足」「どちらかというと満足」の22.9%を上回った。
「不満」の理由は「評価基準が不明確」が67.0%と最多で、「自らが考える評価に比べて低い」「評価が恣意的で不公平」「評価に対し昇給が伴わない」という声も上がったという。
「一朝一夕にはいかない問題」
記事を受けて、ツイッターなどでは
「難しい問題ではあるが、やはりコミュニケーション・ロスなのだろうか」
「評価基準や項目を、部下にはっきり伝えれば、(例え減給でも)文句は出ないと思うが・・・しっかり説明出来ない上司は、自分がつけた評価に自信が無い(後ろめたさ)んだと思うが・・・」
「自分を過大評価しがちだからね。よくやって評価はやっと普通と思っていた方が良い。プラス評価など、そうそうもらえないと思っていないと」
といった感想や意見が書き込まれていて、多くの企業や従業員が悩んだり不満を持っていることがうかがえる。
たとえば、兵庫・尼崎市の「中薗総合労務事務所」のサイトでも、この記事に対する特定社会保険労務士の見解が掲載されている(15年3月3日更新)。
人事評価への不満の理由トップ3が「これらはいつもクライアント様やその従業員からお聞きする事項」だとして、「評価基準が明確でない」という不満については、実際に「評価基準を文章化したことによって長年の悩みが解消できた」クライアントもいるという。しかし多大な労力と文章のセンスが必要なので、一朝一夕にはいかない、ともしている。
的確な評価者訓練や常日頃から部下との良好な人間関係を築くことも重要だが、これも簡単なことではない。「私にとっても改めて身につまされる内容でした」と書いていて、労務のプロでも頭を抱えるほど難しい問題のようだ。(MM)