2016年卒の就職活動が「解禁」されたが、今年の就活は、ちょっと様子が違う。経団連の指針変更で、就活の時期が大きく後ろ倒しにされ、採用が「短期決戦」になったからだ。前年までは「3年生の12月」から広報活動を始めていたのが、今年は「3年生の3月」からに変更。面接の時期も、「4年生の4月解禁」から「4年生の8月解禁」へと、4か月後ろ倒しになった。
が、こうした変更を守るのは、経団連加盟企業など一部で、従来のスケジュールで採用活動をする企業もある。早くに内定を出し、他企業への応募を、事実上『禁止』しようとする、「オワハラ(終われハラスメント)」なる行為に走る企業も、あるようだ。
「もう2社から内定もらった」
「大手を悩ませる『オワハラ』の恐怖」――。雑誌「AERA」2015年3月16日号では、経団連に加盟していない中小企業などが、早期に学生に内定を出し、『拘束』する動きがあると報じている。記事によれば、採用活動が「解禁」された今(2015)年3月の時点で、すでに内定を出し始めている企業も多いという。
ツイッターでは、16年卒とみられる就活生が、「すでに内定をもらった」とつぶやくケースが多く見つかる。「2社から内定貰ったどうしよう待って早いって!!!!!」とか、「なんか内定出たっぽい・・・いろいろいきなりすぎて思考が追いつかない」と、戸惑う学生もいれば、「もうベンチャーから内定出てるんだけど、大企業も受けてみようかなー」と、悩む学生もいる。ある程度、良い印象をもっていた企業から内定が出れば、就活を続けるかどうか、迷うのは当然だろう。
前述の「AERA」記事によれば、外資系や、中小・ベンチャー企業は、そもそも経団連の「指針」を守る義務はない。そのため、早期に学生と接触し、すでに『採用を終えた後の内定者フォロー』に入っているケースもあるという。方法は、内定者限定SNSの活用や、専用アプリによるビジネスマナー研修、内定者と社員の交流など、様々だ。こうした行為がエスカレートすれば、企業が学生から、他企業への応募チャンスを奪うことにもなりかねない。採用関係者の間では、就活を終われと強要する「オワハラ(終われハラスメント)」との言葉も聞かれるという。
「会社入る前から会社に管理される時代とはたまげたなぁ」
昔と今では、内定者の『拘束』手段も、様変わりしている。ツイッターでは、会社員らしき人が、「会社のお偉いさんと話してたら、今って『内定者用SNS』ってのがあって、ログインや課題提出、メール既読なんかを統計とって内定辞退予備軍とかで人事にアラート飛ばすような機能搭載してるとのこと。会社入る前から会社に管理される時代とはたまげたなぁ・・・」と、驚き呆れているようなつぶやきもあった。
「オワハラ」とまではいかなくとも、内定をもらった後、いかに他社の選考を受け続けるか、悩む学生は多い。ツイッターでは、「先輩に聞いたら、内定もらったあと、あんま待ってもらえないよって言われた」とか、すでに「内定もらったけど、他のところも受けてるから内定承諾10日待ってほしいって言ったら、角が立った。内定もらってるのに、なにこの憂鬱。働く場所って重要やろ。もっと時間くれよ!」という学生もいた。
一方で、「とりあえず1社内定もらった! まだ受けるけどね(^0^)」とか、「あっという間に内定頂いたけど、迷うところあって来週まで返事待ってもらう事にした」など、企業に遠慮せず、返事を留保しているとの声も多い。採用担当者の思惑を「オワハラ」と感じるかどうかは、本人次第なのかもしれない。(KH)