「不機嫌な社長」は会社の迷惑 経営者が肝に銘じるべきコト

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アジアのさる島国の村落で会った村長から学んだコト

   そんな禅問答のようなやりとりをニコニコと笑みを浮かべながら聞いていたD社長が、助け舟を出してくれました。

「僕はね、ひとつだけずっと心掛けていることがあります。それは、機嫌を職場に持ち込まないということ。僕は本当は気の短い男なのですが、特に上に立つ者が悪い機嫌を職場に持ち込んじゃいかんと思っているのです。これは若かりし頃に出会った、心の師の教えです」

   D社長は先代の急逝により思いがけないタイミングで社長になり、当初は何より自分自身が落ち着かない状況下でした。就任から1、2年の間に会社もよりどころを失い、迷走状態に陥ったそうです。どう会社を引っ張っていいものか悩んでいたその時、心配した冒険好きの友達に旅行へ連れ出されました。「全てを忘れて気分転換せよ」というわけです。行先は、アジアのさる島国の村落。そこで偶然出会った村長さんに、リーダーとして心打たれるものがあったのだと。

   村長さんは、とにかく穏やかですべての村民から慕われていました。社長は村を離れる際に「村長さんはなぜ、そんなにいつも穏やかなのですか」と質問をすると、「私も人間だから機嫌がいい時も悪い時もある。でも私が少しでも機嫌を損ね、それが態度に出れば皆が私に気を遣う。人の上に立つと言うことは、それだけ注目をされると言うこと。注目をされる人は、余計な負担や迷いを皆に強いてはいけない。それは村にとって最も無駄なことだ」と答えてくれたそうです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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