「派遣の電話取り次ぎミス」の責任 受入側の会社が賠償請求できますか?

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   最近よく、労働基準法や労働者派遣法の改正案が今国会に提出予定、などと報じられ、話題にのぼることが多くなっています。私の印象では、おそらく今年は、労働者にとって大きな転機の年になるのではないでしょうか?

   今回は、こうした流れも踏まえ、派遣社員が起こしたミスで会社に不利益が出てしまったエピソードをもとに、「派遣の損害賠償責任」について考えていきます。(実際の事例を一部変更しています)

営業部に電話を繋げず、契約に影響

電話の取次ぎをめぐり・・・
電話の取次ぎをめぐり・・・

   弊社にはコールセンターがあり、すべて派遣社員で対応しています。

   お客様からのクレームを対応している部署で、みんなとても良く働いてくれているのですが、あるとき電話対応で大きなミスがありました。

   ある取引先の会社が間違えて、コールセンターへ電話をしてしまったようで、さらに対応したスタッフが不慣れだったこともあり、営業部に繋げずに終わらせてしまいました。

   お客様のクレームを対応している部署ですので、直接社内の部署に繋ぐことは稀なのですが、その様な事が起こっても問題ないように、繋ぎ方は研修で教えています。

   ただ、実際にかかってきた時に焦ってしまい、対応できなかったみたいです。

   その後、「折り返しを頼んだのに連絡が来ない!」と、取引先が怒っていると営業部から連絡が来ました。「もう契約はなしだ!」とも言っているとのことでした。

   派遣社員に確認したところ、その後すぐに別の電話が鳴った為、対応を忘れていたそうです。

   もし、この取引先との契約が本当に無くなってしまった場合、正社員であれば会社の責任となりますが、今回は派遣社員なので、その損害賠償を派遣会社に請求することはできるのでしょうか?

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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