不倫相手の奥さんまで、不倫を始めた理由は?
Mちゃんと不倫をしていた男性は、1か月に1度のペースで、家族のもとへと帰省しています。が、どうも、奥さんの様子がおかしい。夫の不倫を察してか、よそよそしく、自分への愛情が減っている。男性が、自家用車のカーナビの「履歴」をこっそり、チェックすると・・・地元の「ホテル街」の住所が、幾度も表示されていたのでした。「これは、誰かと定期的にホテルに出かけているに違いない」と悟った男性。でも、自分も不倫をしている後ろめたさから、問い詰めることは、できない。
Mちゃんは、「不倫するような奥さんとは別れて欲しい」と、主張していますが、子供がいるため、安易に離婚はできないそうです。男性は、奥さんの不倫相手がどんな人物か、気になる一方、Mちゃんとの恋愛関係も楽しいので続けたい・・・という、ドロドロした感情で、いっぱいになっているようです。
唯川恵さんの小説『テティスの逆鱗』(2010年)には、中小出版社に勤める30代女性が、仕事と家庭の両立に疲れ、夫とは出産後、性生活もなく、育児は上手く行かず、「こんなに頑張っているのに、誰からも、ねぎらってもらえない」と、不満を募らせる場面があります。そんな折、部下の男性から熱い思いを告白され、彼女は「折り畳んでいた心の一部がほどけ」ていくような、心地よさを味わうのです。両立を頑張っても、夫も周囲も、誰も褒めてくれなかった。でも、この男性は、私を愛してくれて、承認してくれる。
私生活も仕事も、どちらも充実しているなら、人は「不倫」など、しようと思わないのかもしれません。Mちゃんの話を聞いていると、不倫相手の男性や、その奥さんの、底知れない「甘美な罪の意識」が、少し分かる気がします。あ、もちろん私は「不倫、ダメ、絶対。」派ですけど。(北条かや)