転職回数「多い人」VS「少ない人」 「採用に有利なのはどっちだ論争」に終止符?

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   よく「日本では、転職回数が多くなるにつれ、転職は不利になる」と耳にする。一方で、「転職回数の多さは、全く不利にならない」という人もいる。一体、「転職回数」は、キャリアに有利なのか、不利なのか。

「35歳以上」の転職成功者のうち、最多は「4回目以上」

また転職だな
また転職だな

   人材紹介サービスを手がけるインテリジェンス(本社・東京)が、2007~2013年度に、自社サイトを通じて転職した人の「転職経験と成功率の関連性」を調べたところ、興味深い結果が出た。「34歳以下」では、転職経験が「初めて」で成功した人が最も多い(「29歳以下」74.1%、「30~34歳」41.6%)が、「35歳以上」になると、2007~2012年までは「2回目」が最多だったのに対し、2013年には「4回目以上」が30.4%と、最多を占めている(2014年7月14日公表)。同社によれば、転職市場の活性化にともない、「経験や実績が合致していれば、転職回数を問わないケースが多くなっている」そうだ。

   昨(2014)年には、人事コンサルタントの安達裕哉氏が、ブログ「『転職回数多すぎ』に思う」(2014年4月9日)で、「転職の回数が少ない人」の方が「価値が高い」という説に、異を唱えた。「転職回数が多い人」は、より多くの会社を知っている。もし、「飽きっぽい」性格だったとしても、それは仕事において、必ずしも悪いことではないという。

   もちろん、「転職回数が多い人は、採用したくない」という人もいる。経営者の後藤百合子氏によるコラム、「転職を繰り返す人を採用したくない3つの理由」(2014年10月2日)によれば、転職回数が多い人は、待遇などを面接時に確認しないまま、入社してしまうことも少なくない。そのためか、会社の方針に、すぐ不満を言うケースが多く、基本的には歓迎しないという。

万一「ジョブホッパー」でもOKなワケ

   転職回数が多い人と少ない人、どちらが「有利」なのか。冒頭に引用した、安達裕哉氏のブログには、「転職回数の多い人を積極的に採る」という経営者から、次のような意見が寄せられた(「『転職回数の多い人を採用するようにしています』という経営者が語った、その理由。」2015年2月17日)。「転職回数が多い人は歓迎されない」という日本の風土を理解した上で、それでも転職を繰り返す人は、自らの「市場価値」を強く意識している。キャリアの一貫性や、スキルに自信がある人も多い。が、転職回数を理由に、他社が採らないため、そういう人は「お買い得」だという。逆に、「同じ会社で20年頑張ってきたが、リストラされてしまった」という人の方が「微妙」だ。以前の会社の慣習に凝り固まっている上、スキルも陳腐化している。「人脈もないし、どうしようもないです」と、その経営者は語る。

   「転職回数が多い人、大歓迎」という経営者に言わせれば、同じ会社にしがみついていた人より、転職という「チャレンジ」を繰り返して失敗してきた人の方が、価値が高い。万が一、不平不満から職を転々とする「ジョブホッパー」を採用してしまっても、「会社に不満ならやめてくれるのですから、こちらとしても大助かり」という。いわば逆張りの発想だ。

   ネットでは、同記事に対し、2015年2月23日時点で、1200以上のツイートが寄せられている。「素晴らしい。転職回数6回のわたしは全力で支持する」とか、「10年同じ会社にいて、初めての転職の人より、渡り鳥みたいな人の方が使えるというのは確かにそうだろうな」と、賛同する意見が、やや多いようだ。

   一方、「うちもかなりそういう視点で見てるけど、1年以下で職場を転々とする人はさすがにNGだな。教育コストが回収できない」とか、「同意なんだけど、やはり世間はそうは見ないよね」という人もいる。結局は、「回数云々より、活躍実績次第だと思うけどなぁ」ということだろうか。(KH)

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