「ダサピンク現象」とは何か
「ダサピンク現象」とは、2013年頃から、ツイッターでたびたび耳にするようになった言葉です。名付け親であるというブロガー、yuhka-uno氏による記事、「残念な女性向け商品が作られてしまう『ダサピンク現象』について」(2014年11月23日)によると、「ダサピンク現象」とは、「決して『ピンク=ダサイ』という意味ではなくて、『女性ってピンクが好きなんでしょ?』『女性ってかわいいのが好きなんでしょ?』『女性って恋愛要素入ってるのが好きなんでしょ?』という認識で作られたものの出来が残念な結果になる現象のこと」。
確かに、家電製品やスマホでも、「女性向け」として作られたものの多くは、ピンク色をしています。そういうデザインが、可愛くないこともないのですが、多くの女子は「もうちょっと上品さが欲しいなぁ」とか、「派手すぎ」と感じ、結果的に、あまり売れないことも、しばしばです。企画する人たちは、「若い女性=ピンクでキラキラしたものが好きに違いない」と考えているのでしょうが、女子たちは何も、分かりやすい「女の子向け商品」ばかりを好むわけではありません。必ずしも「可愛らしい」見た目ではない「ダイソンの掃除機」や、シンプルな「無印良品」、IKEAのソファなどが、女性にヒットしていることを考えると、「女性=可愛いもの好き」の公式が、必ずしも有効でないことは明らかです。
もちろん「可愛いもの好き」な女性もいますが、そういう女性たちだって、毎日、お姫様のようなモノやサービスに囲まれて生活したいと思っているわけでは、ないでしょう。新橋という「おじさんの街」で、個性的なお店を見つけて楽しむ時だって、あるのです。こうしてみると、鼻息荒く「女性向け」として売り出したもののヒットしなかった理由が、何となく分かる気がします。女性向け商品をヒットさせるためには、「可愛いモノ、サービス、デザインが好きなんだろう」という先入観を、まずは『捨てる』必要があるのかもしれません。(北条かや)