海外富裕層に「日本の市民権」開放を 投資など条件に

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富裕層が日本から脱出している中、「補填」する必要性

   シンガポールも投資家ビザというものを発行し、大口の投資家は1年程度で永住権が手に入った(現在は制度が極めて厳しくなり簡単ではない)。有名なところでは、マレーシアのリタイアメントビザ(MM2H)がある。10年更新の長期滞在権(ただし就労は不可)で、延長が可能である。一定の財産条件と収入が必要だが、ハードルは高くなく、これを取得して年金でマレーシアで生活している日本人も多い。

   こういった一定のハードルを設けたうえで、その国への投資とセットで、市民権なり長期ビザを発行する方法は、日本も取り入れてもいいのではないか。

   日本は、先進国で、治安も良く、清潔で、食べ物も美味しく、人々もおとなしい。外国の人にとって、滞在するのには極めて魅力的である。

   たとえば、10億円以上の日本国債を購入した人には永住権を渡すというようなことにすれば、自動的に日本国政府のファイナンスに貢献できるし、10億円ももっているような金持ちであるから、いわゆる「高度人材」に相当する層であろう。誰も損はしない。

   政府の借金の担い手として、さらに、高度で、日本を荒らさない良質な移民として、金持ちに対して、永住権を開放してくというのは検討に値するのではないだろうか。

   日本は税制を金持ちに厳しくする傾向なのは間違いなく、富裕層が日本から脱出している。それが決して良いことだとは私は思っていないが、いずれ日本の財政が厳しくなっていけば、外国からこのような手段で富裕層を補填する必要がでてくるかもしれない。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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