弁護士解説 別事例では「お茶飲み話の域を超えている」と、慰謝料を認めた判決も
社内で自分の変な噂が出回っていると嫌な気分になりますよね。しかも、いくら冗談だったといっても、根も葉もない噂を流されて仕事がしづらくなるなんて、許せないのは当然です。
今回のケースでは、(1)刑事事件としてAさんを名誉棄損罪で警察署、検察庁に告訴すること、(2)民事事件としてAさんに慰謝料を請求する、という方法が考えられます。
まず、(1)についてですが、名誉棄損が分かる資料等を捜査機関に持っていき、その後の事件の捜査や処理については、警察や検察に任せることになります。刑事裁判となり、名誉棄損が認められた場合、Aさんは懲役や罰金などの刑罰を受けることになります。
しかし問題は、今回のAさんの発言が名誉棄損にあたるかどうかです。他人の社会的評価を下げることを言うと名誉棄損にあたることを考えますと、今回のAさんの発言は、ご相談者が腹黒い人間である、との印象を周囲に与える発言なので、名誉棄損にあたり得る可能性があります。だだ、同僚の間での悪口の場合は、警察や検察が本腰を入れてくれることは少ないので、刑事裁判になることは基本的にないと思います。
次に、(2)についてですが、人の名誉を棄損すると不法行為となりますので、名誉を傷つけられたことによる慰謝料や生じた損害について賠償を請求することができます。ただ、主婦仲間や職場内での陰口は、法律上の不法行為と評価されにくいため、今回の件で慰謝料が認められる可能性は残念ながら低いと思います。
なお、主婦3人が近所や職場にまで陰口を言いふらし、被害者が退職や引越しせざるを得ないまでに追い込まれた事件について、裁判所は、「町内のお茶飲み話の域を超えている」として各々20万円の慰謝料の支払いを認めたものがあります。なので、ご相談者も、本当にAさんの発言のせいで退職するようなことになれば、慰謝料を請求してみてもいいかもしれませんね。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)
ポイントを2点にまとめると、
1:仮に刑事裁判となり、名誉棄損が認められた場合、Aさんは懲役や罰金などの刑罰を受けることになる。が、今回のケースでは可能性は低い。
2:民事事件の場合、人の名誉を棄損すると不法行為となるため、名誉を傷つけられたことによる慰謝料や生じた損害について賠償を請求することができる。
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