もう「解雇規制緩和」の議論はやめよう 総合的な変化踏まえ「再定義」を

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解雇規制緩和「反対派」の意見

   一方、解雇規制緩和「反対派」の意見は、

・世界各国と比較したとき、日本の解雇規制はむしろ弱い方であり、もっと労働者を保護すべき
・解雇規制が緩和されると、会社は社員を解雇しやすくなり、失業者が増える
・立場の弱い人たちが企業の都合でリストラされやすくなる
・正社員を解雇したとしても、それによって非正規社員の待遇が改善するわけでもない
・解雇を恐れる正社員は会社の言いなりになって過重労働になり、誰も得をしない
・解雇規制は大企業には通用するが、中小零細企業では形骸化しており、実質的な不当解雇が横行している

   こちらの意見も確かに一理ある。今は規制があることで不当解雇の抑止力になっているところが、規制緩和によって単に「気に入らない」「ムカつく」といった理由だけで解雇になってしまったら大変だ。

   そして、最後の点もその通りである。名の知れた大企業の場合は世間の目も厳しく、おいそれと違法行為はできないものだが、中小零細企業は事情が違う。経営不振となっても、従業員を異動もしくは転籍させられる子会社も部署もなく、いきなりの解雇に踏み込まざるをえないケースもあるだろう。しかも解雇された社員にとって、それを不服として裁判所に持ち込むだけの金銭的・時間的余裕もなく、表に出ないまま泣き寝入りを強いられているというのが現実なのだ。当然、それらがニュースになることもほとんどない。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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