今から10年前、『人は見た目が9割』(竹内一郎著、新潮新書)という本が出版され、100万部を超えるベストセラーになった。多くの人が、「やっぱり外見って大事だよね・・・」と無意識に思っているところへ、スッと入り込んだのだろう。同じ著者は、その後、『「見た目が9割」内定術』(産経新聞出版、2013年)も出版している。就活でも、「見た目の演出」は重要だという。
この本の影響もあってか、「見た目の演出」の重要性への理解は、就活生の間にかなり浸透しているようだ。ただ、中には「外見を良くしたい」と悩み、美容整形を考える学生もいるようで・・・。
金銭的な問題と手術の不安があり、なかなか踏み切れない
質問サイト「教えて!goo」には、就職活動を控えた女子学生から、「内定を勝ち取るために整形して美人になりたいのですが、金銭的な問題と手術の不安があり、なかなか踏み切れません」との投稿があった(2015年1月12日)。
彼女は以前、コンビニでアルバイトをしていた。その時、勤務態度は悪いが「美人」の同僚が、常連客に気に入られ、正社員としてスカウトされていったそうだ。さらに彼女は、「大学の美人な先輩は、いくつも内定を貰っているが、それ以外の先輩たちは最後まで就職活動に苦しむ」という「現実」も、目の当たりにしたのだそうだ。
過去に、バイトの面接で落とされたことがある女子学生は、就活がうまく進まない場合に自信をなくさないか、不安でいっぱいの様子。どうしても内定が欲しい。そのために、「整形したい」と訴えた。
回答者からは、「ガツンと言いますよ」と、長いアドバイスが寄せられた。いわく、「あなたが自分の考え、個性をきっちり表現できて、それで相手の魂をさわれたら、顔がどういう形であれ、その人にはあなたが素晴らしい美人に見えるのです」という。「もし、それができないなら、顔をどのように加工しようとも、誰もあなたを見て美人だとは感じない」。要は、「顔の美醜にこだわるあまり、他の努力を怠るのは良くない」「内面が伴っていなければ、整形したとしても、簡単に『美人』にはなれない」・・・ということだろうか。
「人を寄せ付けないオーラがある」と言われ、整形したい男子学生も
「就活のために整形」を考えるのは、女子ばかりではない。少し前には、「大学4年生なのに内定ゼロ」という男子学生から、「整形を考えている」との投稿があった(2011年7月2日、OKWave)。彼は、面接で、「人を寄せ付けないオーラが出ている」と言われてしまい、「確かに友人も少ないし、彼女なんか生まれてから一度もいない、そういえば、アルバイトもどこも取ってくれなかったから、もしかして、内定がもらえないのもそれが原因では・・・」と考えている。彼は、自らの「人を寄せ付けないオーラ」をなくすには、「整形しか考えられない」と主張。男性なので化粧ができないため、印象を変えるには「整形しかない」と考えているようだ。
回答者からは、そもそも「顔かたちと『人を寄せ付けないオーラが出ている』のは関係ないと思いますよ」とのアドバイスが寄せられた。「面接では、別に見かけのみで採用を決めるのではなく、その人をトータルで見るのが普通ですから、外見が取っつきにくそうな感じでも、話し方など態度次第で、いかようにも面接官の印象を変えられるのでは」。確かに、整形しなくても、面接官に好印象を与えることは可能だろう。
一方、「整形してしまえば?」という人もいる。「どうしてもコンプレックスがあるなら、個人的には賛成です」という回答者からは、「しかし、就職活動の面接ごときで受からないというのは、そのレベルじゃないですね明らかに。圧倒的に能力が足りないんですよ」と、厳しいアドバイスが寄せられた。「人は見た目が9割」とはいってもやはり、「整形すれば即、内定ゲット!」というわけには、いかないようだ。(KH)