「生足ショートパンツの女性部長」への違和感の正体

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   いわゆる「バリキャリ女性」(バリバリのキャリア志向女性)を取材していると、「おや?」と思うことがあります。若い頃から、男性の何倍も努力してきたという彼女たち。なぜか、「過剰に女らしさをアピールしたようなファッション」に身を包んでいる人が、妙に多い気がするのです。

まるで「女装」!?

生足ですが、何か?
生足ですが、何か?

   厚生労働省の「雇用均等調査」(2013年度)によると、企業の「課長相当職以上」に占める女性の割合は6.6%。2年前(11年度)に比べて0.2ポイント下がっています。「部長相当職」は、わずか3.6%で、こちらも2年前の4.5%から0.9ポイント減ってしまいました。

   未だに、多くの女性にとって「出世」は難しいといえるでしょう。一方、男性の何倍も働いて成果を出し、昇進していく女性がいるのも事実です。そんな「バリキャリ女性」の一部に共通するのは、「過剰に女らしいファッション」が好きだということ。

   以前、お会いした、大企業の部長クラスの女性(40代)は、華やかな顔立ちに、揺れる大きなイヤリングが印象的でした。胸元が大きく開いたトップスに、ボトムスはなんと、生足で膝上15センチのショートパンツ。美人の彼女に、「生足+ショーパン」は、とても似合っていたのですが、もしかしたら「目のやり場に困る」と感じる人も、いるかもなぁと思いました。また、会社経営の女性(50代)は、真紅のジャケットに、セットアップのスカートも真っ赤。スカートには深いスリットが入っており、何というか、ちょっとバブリーな雰囲気でした。

   高い社会的地位を得て、男性並みに働く女性が、「過剰に女らしいファッション」をするのを見ると、まるで「女装」しているように感じる時があります。おそらく、「バリバリ働いて上り詰めた女性は、おしゃれには無頓着か、それとも超がつくほどのハイセンスで、カッコイイ系のパンツスーツを着こなしているかの、どちらかに違いない」という、思い込みがあるのかもしれません。だから、「生足ショートパンツの女性部長」を見ると、ちょっと違和感があるのです。

女性管理職が陥るジレンマ

   なぜ、男社会のなかで「のしあがった」(という表現も古くなりつつありますが)一部のバリキャリ女性は、「過剰に女らしい服装」を好むのでしょうか。評論家の小倉千加子氏は、バブル時代に出した『女の人生すごろく』(1990、筑摩書房)で、興味深い指摘をしています。いわく、女性が男性の部下をもつと、あるジレンマに陥るというのですね。今までは「女らしさ」という、ある種の「演技」をしていればよかったのですが、管理職になると、「リーダー」として「男らしく」部下を指導しないといけないからです。

   そこで、強靭なリーダーシップと「女らしさ」を両立させようと、ファッションで「女らしさ」を演出しようとする人も、いるのだそうです。平社員女子よりも、管理職女性の方が、時に女らしい格好をしているのは、こうした理由もあるのかもしれません。

   そういえば、女性比率がOECD諸国のなかで極端に少ない日本の「国会議員」の女性たちも、ピチピチのボディコンスーツなどを着ている場合があります。スカートスーツの色も、男性議員の黒やグレーとは違って、ピンクや白、黄色など、かなりカラフルな印象です。女性議員たちのハデなスーツ姿は、国会議員という「権力側」に立つ女性が、一生懸命「フェミニンさ」をアピールしようとした結果のようにも見えてしまいます。

   もちろん、女らしさとリーダーシップを、しなやかに両立させている人もいます。が、管理職になった女性が、やたらと女らしいファッションで露出するのを見ると、未だに「男らしいリーダーシップと、女らしさの両立」は、難しいのだなぁと思います。女性は、スーツ中心の男性と違って、おしゃれの幅が広いのも難儀ですね。ファッションが直接、自己アピールに結び付けられやすいからです。ああ、おしゃれって大変・・・。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
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