「年収1000万円」の不幸 「自分は高給取り」の勘違いが招く悲喜劇

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   男性の平均給与が、500万円台前半の昨今、その2倍を稼ぎ出す「年収1000万円」といえば、かなりの『勝ち組』というイメージがある。バリバリ働くエリートビジネスパーソンを想像する人もいるだろう。生活も、リッチに違いない、と。

   ところが、こうした印象と、実際の「年収1000万円」の生活には、相当なギャップがあるようだ。

イメージは「高級車を何台も所有」

「何台も持ってるよ」、かと思いきや・・・
「何台も持ってるよ」、かと思いきや・・・

   国税庁の民間給与実態統計調査(2013年)によると、男性の平均給与は 511万円。憧れの「1000万円超」は、わずか6.2%だ。こうした、一握りの高収入ビジネスパーソンに対する「憧れ」を、印象づける調査結果がある。

   マイナビスチューデントが、大学生の男女300人に対し、「年収1000万円の人ってどんな人?」と聞いて自由に答えてもらったところ、「医者や弁護士などいい職についている」(女性・21歳)や、「外資系」(女性・22歳)、「一部上場企業など、大手企業に勤めている」(女性・24歳)など、社会的ステータスと、高度な専門性をイメージする回答が目立った(「大学生に聞いた、憧れの『年収1000万円』ってどんなもの? 『牛丼屋には行かない』から『高級車を何台も所有』まで」マイナビスチューデント、2015年1月8日)。

   同調査では、「年収1000万円の生活ってどんなイメージ?」とも尋ねているが、女子学生からは、「高級車を何台も持っている」(22歳)、「高級な店の常連」(22歳)、「株や資産運用で稼ぎ、肉体労働とはかけ離れた生活」(24歳)、「牛丼屋に行かない」(22歳)など、かなりリッチな印象の回答が得られた。

   記事が他媒体にも配信されると、ツイッターでは、「現実は、そうでもないぞ」との意見が相次いだ。

   「車を何台も持つのは、1000万じゃ足りないと思うね。維持費が想像以上にかかる」、「実際は、ふだんあまり金を使う時間がない、飲み屋のグレードが少しアップ、年に数回の海外旅行くらい」という人もいれば、「都心にマンション買って、子供が2人いて両方とも私立中高、国立大行ったら、あとはちょいと貯金くらいや」など、リアルなつぶやきもあった。

「見栄消費」に走って生活苦しくなる人も

   「1000万円ビジネスマン」の生活が、「思ったほど豊かではない」と指摘する向きは多い。ダイヤモンド・オンラインでは、「家計も仕事も絶体絶命 実は不幸な『年収1000万円』」(2014年4月28日)と題して、「年収1000万円な人々」の実態をレポートしている。記事によると、片働き4人世帯の場合、年収が700万円を超えたあたりから、「年収100万円増に対する広義の限界税率」が高くなる。900万円から1000万円に上がるときには、50%超になることも。憧れの「年収が1000万円」になっても、手取りは期待したほど増えないケースが多いというわけだ。にもかかわらず、本人たちは、額面の収入にステータスを感じ、「見栄消費」によって、生活が苦しくなる場合もあるという。

   記事には、ツイッターで、様々な反応が寄せられた。「ちょっと出世して年収1000万くらいになると手取りは300万円くらい減ってしまうから、日本脱出したくなる」という人もいれば、「税負担等が重くのしかかって来るのは事実だが、いい気になって浪費しなければ問題なかろうに」と、「年収1000万円の不幸」を、冷ややかな目で見る人もいる。

   こうした実態を、知ってか知らずか、ツイッターでは、「世の中、アホの様に『目指せ年収1000万!』って煽りますよね。何でだろ。ビジネスの目標がお金だけだと結構むなしいですよ」とか、「年収1000万の仕事でも、1年後にポックリ死んだら、生涯年収1000万円だからね。あんまり収入ばかり考えて、仕事を選ばない方がいいよ。いつ死ぬかわからんので、自分が好きなものを理由に仕事に選んだ方がいい」など、達観したかのような意見も目立つ。男性の約20人に1人が到達する「年収1000万」、あなたは憧れますか?(KH)

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