「エース社員重視」の落とし穴 ありがちな人材育成の失敗例

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全営業マンのレベルアップをはかる

   私はD社の営業部長と共同で、社内にある、あらゆる営業知識とエース担当者の行動パターンを定型化した「営業マニュアル」を作成し、全営業マンに熟読と実践をさせると共に日次と月次での社長、部長による徹底した営業管理を定着させることで、全営業マンのレベルアップをはかりました。結果、残っていたエース担当者もさらに1年の後に転職しましたが、他の営業マンたちのレベルアップにより、大きなダメージには至らなかったのです。

――話は冒頭の質問に戻ります。私は数年前のD社の出来事を思い起こしながら、こう回答しました。

「社長さん、一昨年プロ野球で日本一に輝いた楽天イーグルスは、昨年は一転最下位でした。一昨年24勝無敗でチームを支えた絶対的エース田中将大投手が抜けた穴は大きかったですよね。絶対的エースの存在は頼りになると同時に、さらなる高みを求めて旅立ってしまった時のリスクとの背中合わせでもあるのです。プロ野球チームはエース移籍で仮に下位に低迷してもつぶれませんが、会社はそうはいかないですからね・・・」

   ご納得頂けたのか、再質問はありませんでした。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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