「VR」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「ヴァーチャルリアリティー(Vertual Reality)」の略である。現実には存在しないデジタル空間を、CGや音響効果によって、あたかも自分がそこにいるかのように感じさせる技術のことだ。
トヨタ自動車がアメリカで、このVRを使ったキャンペーンを展開している。キャンペーンの対象は、10代のドライバー。というのも、アメリカ疾病予防管理センターによれば、10代が死亡を招いてしまう最大の要因は交通事故だからだ。
景色や助手席、同乗者などを立体的に再現
トヨタはイベントで、VRを使った運転用シミュレーションマシンを公開した。運転席から見える景色や助手席、また同乗者などを立体的に再現し、本当に自分が運転席に座っている感覚と視界を味わうことができる。
「シミュレーションマシン」と聞くと、教習所やゲームセンターに置いてある、ただ画面を眺めるだけの装置を想像してしまうが、今回のは本当にリアルだ。
たとえば、クルマの外から聞こえるクラクションの音量と、助手席の同乗者がスイッチをオンにしたラジオの音量が絶妙に異なり、3Dの映像も相まって、空間に奥行きを感じることができる。
そして、後部座席に座っている同乗者の携帯電話が鳴ると、本当に斜め後ろから聞こえるように感じるため、思わず後ろを振り向きたくなる。こうして注意が散漫になっていると、前方を走っていたクルマが急停車し、後ろから追突することになる。
これが現実の世界だったとしても、回避できなかったのではとぞっとさせられる。油断大敵、運転の際には細心の注意が必要だと再認識した。
同キャンペーンを含む啓蒙サイト「Teendrive365」は、2013年秋に立ち上げられた。(岡徳之)