「この成果につきましては明日***会議(学会)にて発表される予定です」
世間にアピールできる研究成果が上がると、テレビのニュースで内容の簡単な説明の後、良くこのようなセリフが聞こえてくる。理系の研究に縁遠い人にとっては「学会主催の会議で発表される内容」というと画期的な素晴らしい事に違いないと思うかもしれないが、実は真実かどうかに関わらず・・・とは言いすぎだが発表するだけだったら好きなことを言える場合が多い。
研究者や技術者を目指す大学院生の登竜門
まあ、発表前に共同研究者のチェックが入るし(たまにチェック漏れもあるけど)、発表する場にはその道の熟練の研究者が揃っているので「トンデモ内容」を講演すると評判が地に落ちてしまう。とくに画期的な内容は、同じ分野の研究者の追試を受けて・・・どこかで聞いたような展開になる。
しかし、学会も大小様々実に多量にある。気になる人は、日本学術会議のホームページの協力学術研究団体でもみてみると良いだろう。ちなみに、ここに載っていない団体も当然沢山ある。これらの団体が年1~2回ぐらい研究発表の場を設けている。大きな団体だと各地区で地方大会なんてのも開くし、海外の学会と共同で国際会議を開いたりもする。
研究者や技術者を目指す大学院生の登竜門は、この会議で自分の研究内容を発表することである。まずは地方大会とか学生主体の発表会とか、つぎに全国規模の大会、さらにすすんで国際会議とか国際シンポジウム。そうそう、国際会議は当然ながら英語ね。日本で開催される国際会議なんて、発表者が日本人、質問者が日本人、会場の9割が日本人で、痒いところに手が届かないような英語で四苦八苦しながら質疑応答している場面をよく見かけるが、仕方がない。たいていは、後で発表者と質問者が個人的にコミュニケーションをとっている・・・当然日本語で。
「学生発表」、指導者にとっては針のむしろ
そうそう、昔、日本の某有名企業の研究者がハワイで開かれた国際会議で発表していたが、紙に書かれた原稿を棒読み状態であった。そのなかで「between」という単語を「ベットイン」と発音していたなぁ~。私の前に座っているアメリカ人がクスクス笑いながら、小声で「なんだ、そいつらは結婚しているのかい?」なんてジョークを飛ばしていた。
ちなみに、大学院生(学生)の発表は、聞いてる指導者にとっては針のむしろ状態である。まあ、だれでも通る道なのでしかたがないんだけど。講演はまだしも、質疑応答はなぁ~。昔おもいっきり冒険して、大学院生に生まれて初めての発表を国際会議でやらせてみたことがあった。
練習では、たどたどしいながら何とか聞けるレベルまで持っていったつもりだったが、本番の発表で初めからフリーズしてしまった。
「いや、ダメだ」
とか、
「無理だ」
とか。日本語でブツブツ言いながら。しかたがないんで、強制的にバトンを引き継いで講演を続けたけどね。
講演後、本人にどうしたのか聞いたところ、
「頭の中が真っ白になって、何もわからなくなって・・・」
と酷く落ち込んでいた。次の日にはケロッとして学会そっちのけで観光に行ってしまったが・・・
しかし、段階を踏むということがいかに大事かが身にしみました。私も若かったなぁ~(プロフェッサーXYZ)