独立のタイミングはいつでしょうか?
独立するにはどうすればいいのでしょうか?
この質問は、よく聞かれる。会社にしがみつきたくない、自由に生きたいという人は多い。私がオンラインで行っているサロン(ノマド研究所)もそうだが、いろいろ議論していても、最終的に、自由を得るには最終的には自分で独立をする必要がある。
実際に売上は立つか
私の経験からは、独立のタイミングは次の2つしかないように思われる。
●顧客が得られた時
●リスクマネーが得られた時(要するに投資)
ひとつづつ解説しよう。
顧客が得られた時というのは、実際に売上が立つということだ。
例えば、世界を旅行しつつ、原稿を書きながら生きていきたいという希望があったとする。そういう場合は、その希望が生まれた時とか、会社が嫌になったときに、やめてはいけない。
本業はかならずやりつつも、原稿をコツコツためたり、ツイッターで発言して影響力をたかめたり、地道な活動を何年かして、実際にファンや、顧客が得られたら独立する。
私も、ノマドとかいう連載(この連載のタイトル)で仕事の発注もらえるまでは2年くらいはかかっている。それまでは、ブログやツイッターで発信し続け、顧客が得られるまで頑張った。
最初はお金にならないと思うが、だんだんとお金にしていき、あるとき本業の収入の半分くらいを超える時がある。そこが独立のタイミングだ。収入を半分にしてもやりたいことをやるタイミングが訪れる。
コンサルティングや、士業や、デザインなどはわかりやすい。会社をやめても、ひきつづき、あなた「個人」に発注してくれるお客さんが何人かいて、会社員時代の収入の半分が確保できればよい。
もう一つの、リスクマネーが得られた時というのは、投資を受けられた時である。私が最初に独立した時がそのパターンで、学生時代からやっていたサービスを法人化するために、ベンチャーキャピタルが投資を決めてくれた。
その資金があれば数年は食えるので、独立できる。投資を受けたら、一刻も早く会社をやめて、そちらに専念した。
グリーの田中良和氏も、楽天に勤めながら週末に個人サイトとしてグリーを開発した。その後、投資を受けられることになったので(彼の場合は楽天からも出資してもらうという特殊なパターンだが)、専業になった。
スキル=顧客=お金ではない
独立のタイミングとして決定的に間違いなのは、いままで説明した2つの独立タイミングの裏返しになる。
まずは、
●自分が独立したいタイミング(資格をとった、会社が嫌になった、スキルを得た)時点で独立してしまう
こと。資格だけあっても、顧客がいなければ食えない。たとえ弁護士や司法書士などの難関資格を取ったところで、顧客がいなければ、弁護士の登録料すらも払えない状況に陥るだろう。
スキルが高まっても、スキル=顧客=お金ではない。
顧客がついていない段階で、独立することは、非常なリスクを伴う。多くは結局半年ほどして就職活動を再び始めることになる。ゼロから半年で顧客がつくのは稀だ。
もうひとつは、ラーメンなど、FC独立のパターンにありがちなものだ。
・自己資金がたまったので独立してしまう。
というもの。夢の開業資金がたまった。むしろ開業のためにためてきたので独立するというもの。その資金を使い果たしたらどうするのか?
リスクのある事業をする場合は、他人のお金でやったほうがいい。そうでなければ、最後は破産して何もかもを失うことになる。
退職金を事業資金にあてれば、いまなら独立できる、といった考えは危険だ。
その退職金は1年後にはなくなり、事業が成功しているかは誰にも分からない。(大石哲之)