「残業代見込んだ生活設計」に社長ブチ切れ 「原則禁止令」発したが社員はドン引き

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経営と社員の溝を深くするリスク

   とりあえずT部長も呼んで、3人で善後策を話し合うことにしました。部長からは、少し大げさに残業禁止令に対する先の社員の反応なども伝えてもらいました。

   結論としては、

(1)残業代は「生活給」ではない。「残業」はやむを得ない場合に限りおこなうものという考え方の原則を、社長から話して今一度徹底をはかる。
(2)現実に残業なしで仕事をこなしている社員もいることを踏まえ、全員が原則「残業なし」を共通目標として担当業務に取り組む。
(3)2~3月の2か月間で(1)(2)の浸透ぶりを見ながら、新年度からの残業対応の方針を再検討する。

ということになり、とりあえず性急すぎる制度改定は一旦回避しました。

   繰り返しますが、人事、給与の問題はいかなる事情があろうとも、会社側の主張だけで性急に制度を変更してしまうのは、会社全体のモチベーションを下げ経営と社員の溝を深くするリスクが伴います。N社長がこの先2か月で、いかなる結論を出すのはまだ分かりませんが、社員の視点を無視した強引なやり方だけは変更できたので、最悪の事態は避けられたと思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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