「ガッツとガッツキがある女」は出世する
派遣期間が終わった後、T美は、社内で知り合った男性の取引先に紹介してもらい、ベンチャー企業の営業職に転職します。派遣社員から、正社員へとステップアップしたのです。転職先では、持ち前のガッツを見せ、8か月で営業のMVPを獲得しました。
さらに、受付嬢として働いていた時代の知人(転職して、経営コンサルタントをしていました)を「タダ」で使い、新規事業の相談に乗ってもらいます。「◯◯さん、お久しぶりです。私、今、××ってベンチャーにいるのですが、新規事業のプレゼンを見てもらいたくて・・・うちの社長も、ぜひ◯◯さんに相談したいと言っているので、一度会ってもらえませんか?」
熱心に社長と知人男性を引きあわせ、新規事業への『がっつき』を見せます。コンサルタントになった知人も、一度は申し出を断ったものの、彼女の熱心さに思わず、無償で相談に乗ってしまいました。
ベンチャー企業で実績を上げたあと、T美は、別のIT企業に転職。受付嬢時代に、不倫関係にあった男性に教えてもらった、成長株の企業でした。その企業で「マザーズ上場」を経験し、2年後には、営業から広報へと異動。そして、29歳になった昨年、さらに規模の大きな一部上場企業の「広報」になったのです。
よく「美人は得をする」と言われますが、彼女を見ていると、美人なだけで「キャリアアップ」するのは難しいと感じます。彼女の転職を支えたのは、美貌だけではなく、(時にはその美貌を使って「不倫」などのリスクを冒してでも)のし上がろうとする「ガッツ」と、周囲の人を自分の仕事に巻き込んでいく「ガッツキ」のパワーでした。バスガイドから、大企業の広報へ。時々、そんな彼女のことが眩しく見えます。私も、T美の「ガッツ」と「ガッツキ」を見習いたい。まあ、不倫はちょっと、イヤですけど・・・。(北条かや)