「同一労働同一賃金」という考え方がある。簡単に言えば、正社員か非正規社員かといった雇用形態などに関係なく、同じ仕事をしたら同じだけの賃金を支払うべき、というもので、欧米では普及している。
日本でも近年、よく耳にするようにはなったが、まだまだ「正社員と正社員以外の壁」は厚いようだ。そんな中、あらためて「同一労働同一賃金を実現するなら、正社員をなくすべきだ」という議論が注目を集め、賛否両論を巻き起こしている。
テレビでの討論がきっかけに
話題となっている発言は、経済学者で人材派遣のパソナグループ会長でもある竹中平蔵氏のものだ。
2015年1月1日放送の「朝まで生テレビ!元旦スペシャル」(テレビ朝日系)中盤で、「改正派遣法の是非」の議論が始まった。出演者の竹中氏は
「派遣労働者のうち、今後『派遣労働者として働きたい』『派遣社員ではなくパートなどの正社員以外の就業形態で働きたい』と答えたのは合わせて47.3%、『派遣社員ではなく正社員として働きたい』と答えたのは43.2%」
という厚生労働省の調査結果(13年9月5日発表)を紹介した上で、派遣雇用が増加した原因を「日本の正規労働ってのが世界の中で見て異常に保護されているから」と指摘。そして他のパネラーが主張していた「同一労働同一賃金にすべき」という意見について、
「やるんだったら正社員をなくしましょうって言わなきゃいけない。全員を正社員にしようとしたから大変なことになったんですよ」
と述べた。