「夢は正社員=既得権側に入れさせろ」論 同一労働・同一賃金を考える

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「既得権はやめてフラットにしましょう」

   言い換えを元に、それぞれの主張をみてみましょう。

   「わたしも、10%の既得権に入れさせてほしい」というのが、労働者の願望。

   「日本の社員の100%を既得権側にしなさい」というのが、左巻きがわのひとの労働キャンペーン(そんなのは民間では無理で政府が抱える必要がありますが、そういう主義なので主張自体は整合性はあるとおもいます)。

   「既得権はやめてフラットにしましょう」というのが、正社員をなくそうという解雇規制緩和論者です。

   奇しくもこの原稿を書いたあとに、慶応大教授の竹中平蔵氏がテレビで「同一労働・同一賃金と正社員廃止」について触れ、論争になりました。

   私は基本的には解雇規制緩和論者で、既得権としての正社員を廃止すべきだという立場です。

   私がおかしいなと思うのは、90%の「東証一部正社員になれないひと」も、正社員の既得権の緩和には大反対な人が多いことです。解雇規制緩和は、90%の側のほうにむしろメリットのある政策なはずですが、なぜか90%のひとは、いつかは10%の側に入れると思ってしまっているのでしょうか。

   いつかは自分もその10%の側に入れると夢を見ているのでしょう。そんなことは起きないと思いますが。これぞ、夢を見させられながら現実には、搾取され続けるというブラックな構図そのものです。まずは、この幻想を打ち砕くことが必要かもしれません。

   「夢は正社員」ではなく、正社員や非正規という言葉がなくなる社会を、作っていくべきだと思っています。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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