「給与が低い」と嘆く社員への「社長の不満」

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交わることのない大きなギャップ

   この話に私は、給与に関しての相対する二つの考え方、「生活を思えば、他者と比べてもっと欲しい」社員の感覚と、経営上「給与=コスト」を忘れるわけにいかない社長のそれとの間には、どこまでいっても交わることのない大きなギャップが存在すると感じさせられたものです。ギャップが大きいと分かるからこそ、社長は誤解を恐れ「大きな声では言えない」。でも、言わなければギャップは解消されようがありません。給与に関する経営と社員のフランクなやり取りは、企業経営における大きな課題であるなと実感させられました。

   最近のことですが、新興市場に上場したITベンチャー企業で、毎月の給与支給前に社員一人ひとりがサイコロを振りその出目によって給与に1~6%が加算されるという給与制度をとっていることが話題になりました。この施策は、「給与というものは、運不運がつきものだということを社員に理解してもらうための経営者からメッセージ」なんだとか。

   新興企業は経営者も社員も若く、やることが大胆です。経営と社員の給与に対する考え方のギャップ解消の観点からは、タブーを作らないというこのやり方がひとつのヒントに思えました。タブーの排除は今どきの組織活性化キーワードとして、B社はじめ多くの伝統企業が学ぶべきことなのかもしれません。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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