正社員廃止後の社会 残業減り、賃金上がりやすくなる

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労働市場の流動化は世界的な潮流

   つい先日、イタリアで実質的な解雇規制の緩和が閣議決定された。イタリアというのは日本同様に解雇規制が強く、長らく雇用後進国のレッテルを貼られていた国だ。そうした国々が今、労働市場の流動化に舵を切り始めている。雇用の規制を強化すればするほど国内での雇用が減り、椅子に座っている人とそうでない人の格差が拡大するだけという現実に、ようやく彼らも向き合い始めたのだろう。

   なぜか日本には、そうした動きを『新自由主義』と呼ぶ人もいるが、筆者に言わせれば主義主張とは何の関係もない現実的な政策に過ぎずない(そもそも新自由主義というのは左翼の造語にすぎず、系統だった学問なり思想があるわけではない)。

   水は高いところから低いところに流れるのだから、イタリア同様に出来るだけ堤を低くして多くの水を引く努力をするか。それとも「水が低いところに流れるのは新自由主義だ!」という頭の悪いロジックに乗っかって雇用落第生の地位に甘んじるか。2015年は日本国民の見識が問われる一年となるだろう。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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