正社員廃止後の社会 残業減り、賃金上がりやすくなる

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   元旦の朝まで生テレビスペシャルで、竹中平蔵氏が「(正社員と非正規雇用の格差を是正するための)同一労働同一賃金の実現には、正社員を無くしましょうと言わないといけない」と発言し、大きな反響を呼んでいる。筆者からすると当たり前すぎて議論の余地もない正論なのだが、かなりの批判も浴びているようだ。

   いろいろ反応を見てみると、どうやら反対している人は「正社員もみんな派遣やフリーターみたいに低賃金で不安定な職になってしまう」と思い込んでいるらしい。それは完全な誤解だ。というわけで、正社員を無くせば何が起こるのか、ごくごく基本的な論点に絞って説明しておこう。

残業時間が減る

   まず、すべての人に影響する話として、残業時間の減少が挙げられる。なぜ正社員を無くせば残業時間が減るのか。従来の日本社会は、企業も行政も「雇用は守る。けれども残業はいっぱいさせる」という発想で動いていた。忙しい時はいっぱい残業し、暇になったら残業を減らす。要は残業時間を通じて雇用調整していたわけだ。

   この仕組みは、既に正社員の椅子に座っている人の雇用は安定させる効果があるが、失業者や新卒者にとっては就職しにくく、また(残業時間の上限が無い等の抜け穴が用意されているため)過労死やブラック企業といった副産物も生み出してしまった。

   一方、正社員を無くすということは、もっと柔軟に採用や解雇がしやすくなるということだから、企業は忙しければ人を雇い、暇になったら解雇すればいい。つまり、残業そのものは減るわけだ。日ごろ声高にブラック企業批判をしているような人に限り、竹中発言を批判している理由が筆者にはサッパリ理解できない。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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