先日、ホリエモンこと堀江貴文さんが、
「コロンビアで寿司屋を開きたいのですが、どう思いますか?」
というたぐいの質問に対して、
「いいんじゃない。今はすしアカデミーとかで数か月でノウハウ学べるし。昔の『10年修行』は、(寿司職人を増やしすぎないよう)弟子に教えない、ということ」
などと回答していました。
さすが、ホリエモン。この回答は素晴らしいと思います。
海外では「チリソースを出してくれ」と言われることも
まず、海外での寿司屋の需要はものすごくあります。ヘルシー&エキゾチックな料理として多くの国で既にメジャーですし、まだ食べたことない人にとっても知名度は抜群。寿司職人は、ビザがきびしいことで有名な欧州の国々でも、比較的容易にビザがとれるほどです。
そして、海外で働く寿司職人になるために必要なスキルは、高級江戸前寿司を握るスキルではありません。
海外で寿司を握っている人と話をすると
「日本ではとてもお客様に出せないようなネタしか手に入らないこともある。ということでした。
せっかくいいネタが入っても、お客様に「チリソースを出してくれ」と言われることもある。
そんな環境でも、できる範囲で、現地のお客様が喜ぶような寿司を出すのが仕事です」
日本で長年修行して、寿司の理想像がある人は、理想と現実のギャップに苦悩して、帰国してしまうことが多いそうです。でも、「日本は日本、現地は現地」と割り切り、目の前のネタで、目の前にいるお客さんに向き合える人は成功するのです。
「固定観念を持たず、今できる最善のことをする」能力
そのために必要な技術は「10年の修行」ではありません。最低限の寿司職人としての技術と、固定観念を持たずに、今できる最善のことを実行する気持ちなのです。
この様な環境で商売をするのは、「10年の修行」で身につけた、寿司とはこういうものだという固定観念は邪魔になるかもしれません。
これは、寿司職人以外の仕事にもいえることです。「日本でいいと思ったことは、必ずしも現地の人にいいと思ってもらえるとは限らない」のです。これは、カンボジアで小さなカレー屋(サムライカレー)をやっていても日々思うことです。
自分たちが「美味い!」って思っても、カンボジア人スタッフは一口でやめてしまったり、カンボジア人スタッフの自信作は我々が食べると甘すぎたり。誰をターゲットにして、どんな料理を出すか、日々試行錯誤です。
これから海外に出て行きたいと思う人は、ぜひ「固定観念を持たず、今できる最善のことをする」能力を身につけてください。もしかしたら、この変化の時代に、日本国内だけで生きて行く人にも重要な能力かもしれません。(森山たつを)