のんびりしてる場合じゃないかも 「一味違う」就活イベント・セミナーを考える

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   年明け最初の更新、今回のテーマは「一味違う就活イベント・セミナー」です。その前にめまぐるしく動く就活・選考時期について触れておきます。

   2016年卒就活は広報解禁(説明会開始など)が3月1日です。しかし、実際には多くの企業が動いており、選考開始も3・5・7月で動いていることは連載2回目で明らかにしました。

選考開始は「3・5・7」から「3・4・5」へ

さあ、新年!就活だ!!
さあ、新年!就活だ!!

   掲載から4か月後の現在、取材した限りでは「3・5・7月」から「3・4・5・6月」、特に「3・4・5月」が主流となっているようです。

   これは当初、7月(または5月)選考開始を検討していた企業が他社の動向の速さを見てさらに早めているからです。

   4月は本来なら年度替わり時期で忙しいはずなのですが、そこを無理にやりくりして、4月下旬に選考開始にしています。

   7月開始予定だった企業も6月(本来なら株主総会などで多忙)または5月下旬開始に。

   この状況に就活時期変更の旗を振っていた大学は二派に分かれています。一方は、かたくなに学内説明会・セミナー開催を拒否する「原理派」。こうした大学は「3月1日以前は採用担当者だけでなく企業関係者を学内に入れない」と息巻き、専門紙記者などを招聘する学内セミナー開催にとどめています。

   もう一方は、実質的な学内セミナー開催を認める「柔軟派」。採用に直結しない内容で、と強調しつつ、実際には・・・というセミナーです。

   私は学生が幸福になるのは「柔軟派」大学であり、「原理派」大学は大変だなあと見ています。まあ、こういう大学、難関大に多く、しかも寄附講座(単位認定する講義を企業が設計、社員を講師として派遣)で企業関係者、採用関係者はいくらでも学内に入り込んでいるのですが・・・。バカを見るのはバカ正直な学生ですが、さてどうなるか。

企業をドラフトで決める「リア就!? 2016」

   1~2月に開催するインターンシップ・セミナーで目立つものとして企業間での連携セミナーです。

   これは、1社単独ではなく、複数の企業が参加するものです。就職情報会社主催の合同説明会と違い、採用担当者同士の連携によるもので商業色があまりありません。

   参加する学生からすれば1社だけのセミナーよりも複数の企業の情報を得ることができてメリットがあります。

   企業側も、合同説明会と違い費用がかからない、1社単独よりも学生が集まる見込みが立つ、自社セミナー・選考の参加に誘導しやすいなどのメリットがあります。まあ、他社に内定学生を取られるリスクもありますし、前例がほとんどの企業でないため社内合意が得にくいというデメリットもあります。

   今回の掲載(1月5日)からすぐ締め切り(8日ごろまで)となるのがIT企業の「リア就!? 2016」です。

   参加企業はクレスコ、日本システム開発、横河ディジタルコンピュータなど8社。

   2014年開催に続いて2年目となる同イベントは、まず1月18日に「IT業界理解・合同企業イベント」を実施します。ここで仕事理解講座、パネルディスカッションなどがあり、その後、学生は企業ドラフトに臨みます。これは話を聞いて参加したいと思った企業のインターンシップ(期間は2~6日間で企業により異なる)を選択します。もちろん、競合することもあるので希望する企業に行けるかどうかは別ですが。

「企業も学生もお互いを見極めることが目的であり、採用直結型のイベントです。昨年はこのイベントから11人が内定を獲得しました」(クレスコ・細田敦史さん)

バラバラだから楽しい「首都圏就活交流会」「関西就活交流会」

   「リア就!?」参加のクレスコ、日本システム開発に加えカバヤ食品、ヒューマンアカデミー、ケミカルグラウトなど8社が参加するのが首都圏就活交流会(2月5日開催)。

   こちらは採用担当者と学生の交流座談会が中心。

「12月にも同様のイベントを開催しました。ざっくばらんな雰囲気で最初は緊張していた学生さんも就活の悩みなどを色々と話すことができたと好評でした」(日本システム開発・原智子さん)

   企業・業界がバラバラである点も参加学生からすれば、知らない企業・業界の話が聞けて良かった、とのこと。これが定員100人・200人となると就職情報会社主催の合同説明会と変わらないのですが、このイベントは定員40人。これくらいの規模だと、学生も採用担当者も腹を割って話し合えるので、ちょうどいいようです。

   同様のイベントは関西でもあります。例年、関西の企業の有志と大学等が参加して開催している「関西就活交流会」。例年、11月開催で2016年卒採用では2014年11月に甲南大、龍谷大大阪オフィス、日伝大阪本社の3か所で開催済みです。ただ、今年は希望者が多く延長ということで2015年2月に2回開催することになりました。うち1回は他大生も参加可能です。日程は2月7日。場所は関西外国語大穂谷キャンパス。関西外国語大の中でもそこそこ便利な中宮キャンパスではなく、京都・奈良県境に近く不便な学研都市キャンパスです。関西外国語大の中での開催なので関西外国語大生が中心ですが、他大生も参加可能とのこと。参加企業は日伝、カバヤ食品、ヒューマンアカデミーなど。こちらも採用担当者と学生の交流会が中心です(参加希望の場合は日伝・人材開発課TEL 06-7637-7004まで)。

アパレル販売職を考える合同イベントも

   首都圏就活交流会・関西就活交流会ともに参加するアパレル企業のレリアン。同社やアバハウスインターナショナル、アーバンリサーチなどアパレル業界6社は2月に東京と大阪でそれぞれ販売職志望者向けの合同イベント「アパレル業界6社コラボ・セミナー(販売職編)」(仮称)を開催予定です。日程は大坂が2月4日、東京は2月12日。

「昨年12月にバイヤーなどを招いての合同イベントを開催し、好評でした。今回は販売職志望者向けとなります。もちろん、アパレル業界に少しでも興味ある学生ならどなたでも歓迎です」(レリアン・飯野誠さん)

   1月中旬以降に応募サイトをオープンするとのことでその前に問い合わせをしたい方は「jinji@leilian.co.jp」へどうぞ。

1社単独でも就活支援など変化球も

   1社単独でのセミナーだと例年であれば会社セミナーなのですが、今年はやや抑えて業界説明などにする企業が多いようです。これだと、「会社説明会を開催しているのでは?」との非難に対しても「いや、説明会ではありません」と言い訳がつくからでしょうか。どうせ、経団連のスケジュールは崩壊しているのですから変に言い訳する必要などないと思うのは私だけではないはず。

   そんな中、関西就活交流会の参加企業でもある専門商社の日伝は各大学で「就活のタブー講座」を開催。これは就活支援型セミナーの変化球で企業アピールではなく学生の就活への疑問に答えていこうとするものです。

「講座名は大学によって異なり、大学のリクエストに応じて内容を変えています。学生の質問になんでも答えていきますし、商社希望でなくてもご参加いただければと思います」(日伝・福島良企さん)

   こうしたイベントやセミナー、友達同士でないと参加したがらない学生が多いようです。もちろん、不安であるのはわかりますが、ベンチャー企業ならまだしもそこそこ大きい企業であれば学生を変に勧誘したり、無理なことをさせるわけではありません。また、志望企業・業界かどうかもこだわる学生がいますが、そこもこだわるポイントではないと考えます。視野を広げるという点では時間の許す限り、臆せずに色々と参加してみてはいかがでしょうか?(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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