「死ぬ気で仕事しよう!ただし、1日8時間以内でね!!」 「ブラック企業は生き残れないパート3」

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制度があるなら、上手く活用すればよい

   その理由には、単に組織内の仕組みが整っていない、というものもあれば、周囲の人間関係に配慮、もしくは遠慮して、「利用したくてもできない」、というケースも存在している。

   制度を利用しない者にとっては、制度利用者が「自分たちの負担によっていい思いをしているヤツら」とでも見えているのだろうか。

   そのような不寛容な職場は残念ではあるが、嘆いていても何も変わらない。制度があるなら、上手く活用すればよいのだ。

   実際、「使いやすくはないけど、制度自体はある」という感じの組織で、うまくワーク・ライフ・バランスが実践できている人には共通点がある。それは、

「仕事は確実にこなし、限られた時間の中でも価値を創出できている」
「『困ったときはお互いさま』の気持ちで、周囲にも積極的に貢献できている」

ということだ。すなわち、休職や時短を所与の権利として取得するだけ取得し、「後は任せたからね~」という丸投げな感じではなく、「周囲から文句を言わせないくらい、もしくは周囲から配慮されるくらいのレベルでやるべき仕事をきっちりやり、堂々と権利を取得する」という状態が近しいだろう。

   この構図は、職場内での「出世」とも近しいかもしれない。普段から声高に「これだけ頑張ってるんだから、出世させろ!」と主張する人よりも、地道に成果をあげて、周囲にもきちんと配慮し、サポートできる人が、周囲から「ぜひ○○さんにマネジャーになってほしい」と推される人の方が、結果的に出世が早かったりするものだ。

   そう考えると「ワーク・ライフ・バランス」も「出世」も同じで、権利を主張するより先に、自らの行動と成果によって「あの人にやってもらいたい」と「周囲から応援される存在」となることが先決なのかもしれない。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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