世界が採用した処方箋は「女性の社会進出をさらに後押しする」
ちなみに、女性の社会進出と並行して出生率が低下するという傾向は、戦後、先進各国で見られた現象だ。そして、やはり「女性の伝統的な役割を無視したからだ」という議論をする人も(40年くらい前には)各国で見られた。
でも、その後に世界が採用した処方箋はそうした議論とは真逆に「女性の社会進出をさらに後押しする」というものだった。出産や育児がキャリアにマイナスにならないような流動的な(要するに敗者復活の容易な)環境を作るのが目的だ。実際、出生率を2.0近くに回復させることに成功した先進国は、女性の社会進出度でも優等生だ。
一方で、イスラム圏のように、まだまだ男尊女卑で高い出生率を維持している国もある。
もちろん、世界有数の経済大国であり、別にイスラム文化圏でもない我が国がどちらの道を目指すべきかは明らかだろう。というわけで、女性が社会進出するから少子化になるんだぜ的なことを周囲に話したり、堂々と著名人がコラムに書いちゃったりするのは、おつむが(イスラム過激派組織)イスラム国レベルだと宣言するようなものなので、良い子は真似しないようにしましょうね。(城繁幸)