商談を進めやすくする「冒頭の一言」とは

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で
「先週は何件訪問したのだ?8社か少ないな。10社は回らないと」

と言った会話は、上司が部下の行動管理をする際によく聞く会話です。当方も営業時代は毎週のように訪問件数を上司に報告していました。

「今週の新規訪問は8社、来週は10社頑張ります」

   当然ながら多いと褒められて、少ないと叱られることもありました。ただ、当時から疑問を感じていました。営業は、「顧客接点の強化」を目指して訪問件数をみやみに増やすことを求めて意味があるのでしょうか?同様の疑問を抱く、若手営業は少なくないはすです。

KFSを意識する

   ただ、いまだに営業成績の向上のため訪問件数だけをマネジメントで重視する上司は存在します。もちろん、件数が大幅に少なくてもいいとはいいません。ただ、数よりも質、具体的にはKFS(Key Factor for Success)に準じた訪問機会を増やしているかの精査をすること。KFSとは、目標達成の為に注意すべきポイント、目的、タスクなどのこと。

【正しい部下への質問】

「先週は何社訪問したのだ?8社か、そのうち見積り依頼は何社もらったのだ?契約に至ったのは何社だ?ゼロか?それじゃ先週の訪問はどんな意味があったのだ?詳しく聞かせてくれ。君の売り上げ目標達成には週間で何社の見積り依頼が必要か、契約が必要かを設定して行動目標を見直す必要があるぞ」

とKFS=見積の依頼と捉えて部下の行動マネジメントをするべきでしょう。余談ですが、営業活動で一番望ましいのは、訪問したその日にお客様から契約をいただくことで所謂「即決」の注文です。新入社員の頃、飛び込んだ会社の受付で偶然にも社長と遭遇しました。受付譲と社長が世間話をしていたのです。

「電話代金がお安くなるプランをお持ちしました。今月はキャンペーン期間なので通話代金を1か月サービスいたします」

と説明すると、受付嬢からも応援していただき

「今月って今日までなの?じゃお得だから社長、加入したら?」

   すると社長も「じゃ申し込むよ」とあっさりと契約をいただくことになりました。まさに即決の営業です。その場で契約書をいただき「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」と頭を下げてオフィスを出ました。そこから会社に帰るまでのウキウキした気分は忘れずに覚えています。即決とは、それくらいにうれしいものです。

   ただし、そんなうれしいケースは滅多に遭遇しません。ですから少しでも商談を前に進めて有効訪問にするために、幾つかの工夫がとても大切です。そこで、少しでも商談を前にすすめる方法を理解するために有効訪問が少ないのに日々が忙しい「ダメな営業の行動」から反面教師的に学んでみましょう。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
姉妹サイト