グローバルマッチョに煽られる人々
しかし、この昭和の人生設計図は、高度成長期をモデルにしたものであって、今となっては、現状とのズレが多くなり、みなも悩んでいます。そして新たな模範を探し始めました。
代わりに出てきたのが、グローバルといわれるマッチョ論です。
「東大ではなく、ハーバード大学を目指す。卒業後はグローバル企業に入社し、MBA取得、戦略コンサル会社をへて、40手前には執行役員を狙う。45にはグローバルで影響力を発揮するリーダーにならねばならない」
といった極端なものです。この基準が適用されると、日本人の99.99999%くらいは、人生設計が狂うどころか、設計すらできないことになります。
現在多くの人が、グローバルマッチョに煽られ、むしろ昭和時代よりも拡大した「ギャップ」に悩み、マッチョになれない自分を攻め立てるようになります。
これではさすがに負け組をたくさん生み出してしまいます。そもそもグローバルで活躍できるひとなんていうのは、どんなに多く見積もっても1%くらいでしょう。
のこり99%のひとは、グローバル競争とはあまり関係ない世界で生きています。地元密着型のサービス業で、その地域にいてその場でサービスすることが大事な職業です。
バスやタクシーの運転手、看護師、介護士、宿泊施設の運営、地元の飲食店などが代表的です。
これらのL型産業のひとが、グローバルマッチョ論に煽られて負い目を追う必要は全くありません。むしろ、もっとプラクティカルなことを学び、たとえばマイケル・ポーターの戦略論を学ぶのではなく、食材ロスを防ぐための方法や原価の計算といったことを学んだほうがいいといえます。