今や採用面接にもネットが使われる時代となっている。オンラインビデオ通話などを利用するもので、米国の企業では比較的広まっている手法で、日本にも普及しつつある。どんなメリット、デメリットがあるのか。
志望者の66%が「好ましい」
ビジネスソリューションを提供する米PGiの調査結果によると、米国ではオンラインビデオ面接が2011年から49%も増加した(13年7月発表)。
採用担当者の74%は「ビデオ面接で仕事が楽になる」、88%は「オンライン面接でコストが削減できる」、90%が「仕事の時間が短くなる」と回答。また、志望者の66%も「採用の途中にビデオ面接があるのは好ましい」と答えた。
日本でも、オンライン面接の利用事例が増えつつある。ソフトバンクのクルー(販売職)採用や、新潟県に本社を構える三幸製菓は、Skype面接を導入している。
ビデオ通話に限らないユニークな方法もある。例えばソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は13年度の新卒採用から、エントリーに「ムービー面接」を導入。4項目の質問に30秒以内で回答した動画データをエントリーシートの代わりにするというものだ。
サイバーエージェントの15年卒技術者採用では、同社のソフトウェア開発支援ウェブサービス「GitHub」アカウントを一次審査の選考対象とした。
「対面でないと・・・」と不安の声も
ネットを使った採用は、「対面ではない」という点でやはり不安に思う人もいるようだ。
Q&Aサービス「QIXIL(キクシル)」には、「Skypeでの面接ってアリですか?ナシですか?」という質問が寄せられている(13年7月9日)。
質問者は採用担当者のようで、「やはり対面で話すよりも得られる情報は少ない」として、「スカイプで話している時は前向きに感じても、あとで『思っていた仕事内容と違った』と言われ、辞退につながったり・・・ 『こちらの話を先方はどう感じたのか』がわかりにくい時もあります」と書いている。
これに対し、WINLIGHT人事部の島崎夢人氏(肩書きは当時。以下同)は、「わざわざ出向いていただき面接をする前の過程として、Skypeにてお話をすれば、採用の可能性が低い方(=相性が悪い方)にわざわざ足を運んでいただかなくとも良くなると思いますので、特に遠隔地の際は、積極的に活用するのが良いかなと思います」と回答している。
一方、アイバリューイノベーション代表取締役社長の會田誠氏は、「コミュニケーションの要素の大半は言語以外のところにあるというのは疑いようがない」として、「採用の可否を判断するような場面ではNG」「営業職などのコミュニケーション全体を把握する必要がある職種はNG。あまり顧客と関わらない仕事であればOK」と、使えるのは時と場合による、という見方を示している。(MM)