「勝敗を分ける」就活本の選び方 SPI編「その対策では空回り」

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内容使い回しが落とし穴

   Aさんが購入した対策本もBさんが購入した対策本もどちらも「SPI3に対応」などと表紙に書かれています。

   しかし、SPI3に本当に対応しているのはAさんが購入した方です。SPIは1974年に開発(正確にはそれまでの適性検査を統合)されましたが、1996年に全面改訂。さらに2002年にSPI2に、2013年にSPI3にバージョンアップしています。

   そして変われば変わるほど当初は出題されていた鶴亀算など簡単な計算問題が姿を消し、推論・集合など文系学生が苦手とする問題が主流となりました。

   ここでカンのいい方はお気づきですね?そう、Bさんが購入した対策本はSPIの時代に刊行され、以降、内容を使い回しているだけです。表紙や最初の10ページくらいは変えていますが他は同じ。

   そして、文系学生にありがちなのですが、ややこしい計算問題になるとめげてしまいます。Bさんもまさにそうで「でも参考書は半分くらい勉強した。だからあとはどうにかなるだろう」と楽観視してしまったのです。そのBさんが勉強した「半分」は簡単な計算問題ばかりで今はほとんど出題されていません。いくら本人は勉強したつもりでも、実際には出題されない以上、適性検査対策ができていませんし、選考を通過しないのも無理ありません。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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